城繁幸『若者はなぜ3年で辞めるのか?』
最近、日本では年金問題、ニートやフリーターの問題、どうも表層的な問題ではなくて足元自体が大きく揺れ動いている状況である。もしかしたら、すでに地盤沈下をはじめていたことにようやく社会が気がつきだしたというべきか。そんなかんなで、わたしもこの数年、社会福祉の問題や世代論・下流社会論を関心をもってみている。まあ、広くいってしまえば、‘あるべき日本人論’と一くくりにしてもいいのかもしれないが。
城繁幸 『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』 光文社新書 2006年9月
お薦め度: ★★★☆☆、 一口批評: 特に日本社会の労働市場の現状分析として読む価値はある。「昭和的価値観」という切り口はそれなりにおもしろい。
たまたまマニラ日本人会の図書館でみかけたので、日本でも話題のこの一冊を手にとってみた。新書というジャンルはもともと好きなのだが、最近おもしろいのが、この新書にかぎらず自分と同世代の著者の本が増えてきたことだ。著者は1973年生まれの東大法学部卒、富士通入社、人事部で2004年に退社独立という経歴の持ち主。1990年のバブル崩壊、1996年の就職氷河期などまさに同時代を人事部の新入社員の立場でみてきた話は一聴に値する。また、私自身も1992年入社のバブル崩壊の最後に社会人となったものとして非常に実感と共感を思える。
副題に示すように、日本の「年功序列」制度の批判とその後のあり方を模索しているわけだがあえて2点のみコメントさせていただく。
この続きは歩く仲間(HP)でお楽しみください^^?
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