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2008年3月の11件の記事

2008年3月28日 (金)

「いただきます小僧」の想い出

今はなき大阪外国語大学話題で。というより「ヨット競技部」話題というほうが正しい。

実は、今年の8月9日、10日と大阪で、「ヨット競技部創部45周年記念大会」が開かれるのです。今、マニラにいるのですが、万難を排して駆けつけたいと思っています。

さて、以前、大学生時代、一緒に合宿していた別の大学の先輩から「小噺くん」と言われていたことをふと思い出しました。しばやん、実は体育会系のクラブ(ヨット競技部)に所属していたのですが、「いただきます小僧」という役職を受け持っていたことがあるのです。結局、誰も後輩が引き継いでくれないので、1年生の後半から3年生までやっていました^^?

つまり金曜日の夜から日曜日まで毎週末、淀川河口の大阪湾のヨットハーバーで合宿していたのですが、食事のたびに、つまり「いただきます」の前にみんなを笑わす「小噺」をしないといけない。長期休暇の合宿は、4日間泊まるので、のべ11回食事があるわけです。もう残りの3日は、原付(原動機付自転車、原チャリともいう)に乗っていても、バイトをしていても、授業(集中講義)にでていても四六時中、次の合宿の噺のネタのことばかり考えていました^^?

結局、この小僧としては、あまり優秀ではなかったようです。全然‘落ちない’噺ばかりして、‘どこが笑えるねん’と関西系の先輩からつっこまれるうちはいいのですが、最後には、つっこみようがないとみんな笑うつもりが無言でいただきますをしていたような・・・。

愛知県の人間ですが、関西(大阪でしたが)流のノリに洗礼されましたね。

そうそう何がいいたかったかというと、そんな経緯もあり、‘つまらない’というか‘ささやかな’気づきを、常に日常生活で求めていた気がします。なんか、笑えるネタが道に転がっていないかなと。

そんなかんなで、基本的に、雑学というかどうしようもないような、くだらない話が好きです^^?

以前生徒として、受講したNGO主催の勉強会でも学生や社会人の参加者から「しばやんの雑学講座」とか「豆知識」となぜか重宝されていました。 でもなんで、‘豆’なのだろう。今思うとちょっと不思議^^?

近くの仲間にいわせると、どうも私は典型的な‘いじられ系’だそうです。全然、自覚はないのですが^^?

ともあれ、夏のOB・OG会、今から楽しみです^^?

2008年3月21日 (金)

mixiコミュ「開発民俗学」のご紹介

mixiというソーシャルネットワークの中で、「開発民俗学」のコミュニティを、2007年08月12日から運用しています。まだメンバー十数人の弱小コミュですが、まあマイペースで仲間と共にコンテンツを創っていきたいです。

以下に案内文を再録します。ご関心のある方は、mixiで検索、もしくはしばやんにご連絡ください。ではでは^^?

P.S.

「2008年3月24日 加筆」

ソーシャルネットワークとは、やはり限られたメンバーの中での限られたやり取りで基本的にオープンエンドのものではありません。トピックという項目ごとに参加者が意見を出し合ってひとつのコミュニティを作り上げていくという性質のもので、このコミュは私が主催しているとはいえ、すでにメンバーの皆さんの‘共有の財産’になってしまっております。

基本的に対話の世界なので、発言者の問いと答えにより、いかようにも深化している特質をもっており、インスピレーションがインスピレーションを呼ぶという知の連鎖反応が既におきつつあります。

すでに私の手を離れているという意味で、このコミュでの議論の成果を、私の一存で持ち出すことは難しいと思いますので、mixiに参加していない方で、もしこのコミュニティに参加したいと思われる方は、直接しばやんまでご連絡ください。mixiへの招待も、私からさせていただきます。

「2008年6月4日 加筆」

ちょっと内容をアップデートしましたので、[4月23日 更新版]に差し替えさせていただきました。また、部分的に簡略化させていただきました。ちなみに、現在48名のメンバーの方が参加されています^^?

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「開発民俗学 「地域共生の技法」」

みなさん、初めまして。           [2008年4月23日 更新]

しばやん@マニラ・フィリピンです。

もともと大学ではアラビア語を専攻しており、特に関心のあったのは中世の東西交渉史で、実はアラブ・イスラームの地理書・旅行記を専攻しようと思っていたのですが、何を間違えたのか?開発援助の現場に飛び込んで15年になります。

現在、農業・水資源・地域開発が専門の開発コンサルタント会社の社員としてフィリピンに駐在して5年目になります。


1. はじめに

   「開発学」ミーツ「(日本の)民俗学」=「開発民俗学」

「開発民俗学」というものを提唱しだして数年になります。概念自体は目新しいものではありませんが「(現状)認識論」、「実践論」について日本の民俗学の碩学たちのフィールドワーカーとしての知見に学ぼうという意味で、あえて「開発‘民俗’学」を名乗ってみました。
経緯と内容について以下に説明していきたいと思います。


2.開発民俗学とは:

mixiコミュの中でも開発に関するコミュニティはすでにいろいろあります。

なぜ、あえて「開発‘民俗’学」なのか。

私は、開発コンサルタントの仕事を通じて途上国の人々と接するうちに自分の現状認識の甘さと、そもそも現地の人が持っている能力の素晴らしさにいやというほど気がつかされました。所詮、外部者でしかない我々援助関係者に何ができるのか。そんな中で出会ったのが‘歩く学問’に繋がる‘日本人’のフィールドワーカーたちの巨大な足跡でした。

そんななかで、ようやくたどり着いたのが宮本常一の民俗学でした。

自分自身の‘開発の現場’に対する内省と‘歩く巨人達’への畏敬から2000年3月18日より「歩く仲間」というプロジェクトを始めました。(現在は「人類と開発フォーラム」と改名しています。)

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/index.htm

ちなみに、しばやんの敬愛する「Giant Steps (巨人達の足跡)」は、こちらをご参照ください^^?

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/gsteps.htm


このコミュニティでは、「開発民俗学」を仮に以下のように定義づけたいと思います。(私の文章の引用です。)

「・・・この日本語に特有の「民族学」と「民俗学」という2つのミンゾク学は、実に示唆に富むと思う。この日本語にいう「民俗学」は、柳田國男にいう、いわば日本文化の元の形(基層文化)を探るという側面があるのだが、それだけではなく、宮本常一氏のいう、実際に生きている人たちの生きる糧となるような学問のあり方、自分の足元を知ることにより、日々の生活をよりよりものにつくり変えていくという、‘実践の民俗学’という側面もあると思う。

つまり外部者として、(途上)国に入ることにより、現地の人たち自身の郷土への関心を呼び覚まし、彼らが‘民俗学’を自分の地で実践することにより、内部から社会を変えていくきっかけをつくる。この民俗学の主体は、当然、彼ら自身である。そんな開発‘民俗学’を創っていきたい。・・・」 2003年11月

全文はこちら; http://homepage1.nifty.com/arukunakama/r006.htm

こんな趣旨で「開発民俗学への途」という講座を掲載しています。

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/r0000.htm 
(2000年7月15日~2007年4月29日)第1部完結


ところで最近、日本民俗学の父、柳田國男が「世のため人のための民俗学」を唱えていたことを知りました。そして、宮本常一のいう「民俗学という学問は体験の学問であり、実践の学問である」というテーゼを元に「日本人としての開発(民俗)学」を創っていきたいと思います。

「開発‘民俗’学を語るからには」 2008年3月21日

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_77d6.html


注: 

2008年3月22日にサブタイトルとして「地域共生の技法」というサブタイトルを追加しました。これは「開発民俗学の理論的な根拠」のトピックで、○○さんとの対話からでてきた言葉です。その経緯を一部紹介させていただきます。

「前略~私は「開発」というと上(行政・学識・権力)からの視点というように読み込んでしまいます。
また、別トピックで触れましたが「民俗学」は現代と向き合っていないイメージが強すぎます。
だから「開発民俗学」というと、「政府よりの地域懐柔策」に私には思えてしまうのです。 ~後略」

当然、そのような垂直で上からの‘開発’を目指すものではなく、水平レベルもしくは‘肩書き’にとらわれない個人のネットワークを目指す私としては、そのようなイメージはどうしてもさけたいため、体を現すために、○○さんのおっしゃる「地域共生の技法」という言葉を採用させていただきました。

また、○○さんのおっしゃる

「私が、この用語を使うならば、重視することは、地域ごとに存在する、その地域ならではの(伝統的な)「暮らしかた」(それを「技法」といっても「生活の知恵」といっても「生活文化」といっても「伝統文化」といっても「民間伝承」といってもいいと思います)を、グローバリゼーションの時代、地球環境問題の時代における「技法」に、どう再生し、アレンジし、そして、「実行」していくか、という点だと思います。」

という精神を最大限尊重していきたいと考えます。

詳しい経緯は、ぜひ、直接このトピックをお読みいただきますようお願いいたします。トピック「開発民俗学の理論的な根拠 <理論総論>」  <リンク先は省略>


3. 方法論など

また、実技・実践論の方法論的な手法として「フィールドワーク」と「ワークショップ(ファシリテーション)」を重視しています。

「開発民俗学への途~第二ステージへ」 2008年3月20日

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_5b72.html

「開発学研究入門(基礎理論編)」 2000年8月15日

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/r004.htm

「現状分析の視座をどこに置くのか?補論」2005年7月3日

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/r0032.htm

トピック「「現地調査や開発実践の現場」を語ろう^^?」の1~3にて、「フィールドワーク」と「ワークショップ」の関係について触れています。

<リンク先は省略>


なお、地域研究への目配りについては、以下を参照ください。

「地域研究について」 2008年3月21日

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_da1e.html


4. キーワード:

私のいうテーゼは、開発社会学、開発人類学、内発的発展論や国内外の地域づくりという文脈で、すでになんども語られていることで特に目新しいことではありませんが、私のスタンスとして、国内外における外部者(カタリスト)の役割に注目したいと思います。

「Three Maria’s Tale (3人のマリアの物語) 2003年5月4日
(開発コミュニケーション論におけるチェンジエージェントの一例として)」

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/n00019.htm

あえて、三つあげれば「異人論(まれびと論)」、「海と山の民」、「パラダイム論」にこだわっていきたいと思います。ちなみにそれぞれトピックを立てています。

なお、私が守備範囲としているキーワードは、私のブックリストの下記のページを参照ください。

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/blistk1.htm


5.  ご利用にあたって:   <省略>


6. お断り <重要>

このコミュニティは、しばやんの外部サイト、今のところ「人類と開発フォーラム(HP)」、「ブログ版 歩く仲間」および「Life I Live You!」の3つ)と密接な連携と関連性をもっております。したがいまして、情報の取り扱いにつきまして制限(ルール)を示させていただきました。コミュニティへの参加に当たって、ぜひご一読いただきますようお願いいたします。(2008年4月13日 追加)  

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/hp_ffb6.html (別のリンクですが内容は同じです。)

7. 「開発民俗学宣言」ってほどでもないですが^^?

「開発民俗学とは、現代の問題から出発するにせよ、過去の歴史に謙虚に学び、そこに住む人たちと未来を創造していくものである。」っていえたらかっこいいなあ^^? 2006年12月1日

全文はこちらをどうぞ^^?

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/y2006Summer.htm


   しばやんと一緒に新しい‘実践の学問’を創ってみませんか^^?


8. 終わりに (どーでもいい?)おまけ

☆ しばやんって実はこんなやつです^^? 

ちょっと恥ずかしい秘蔵写真(ゆるキャラとのトゥーショット!)を公開しています。

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/si000.htm

☆ ちなみに普段着のしばやんは、こんな感じです^^?

「Life, I love You!」(趣味の写真と音楽のブログです)←本当はこちらを書くほうが楽しい?
http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/


最後まで長文を読んでいただいてありがとうございました。
ちょうど8項目の末広がりということでお後もよろしいようで^^?

これからも、ぜひ、よろしくお願いいたします。

ではでは^^?

「地域研究」について

「開発民俗学」にとって、「地域研究」は既に内臓(ビルトイン)されたものと私は考えています。

すでにお気づきのとおり、アラビア語を専攻として、しかも東西交渉史やアラビア語の地理書旅行記に関心をもつ私が「地域研究」を志向していることはいうまでもありません。

今回、日本に帰国して前々から気になっていた「京都大学東南アジア研究センター地域研究叢書」の一冊を購入しました。

Photo

立本成文 『地域研究の問題と方法(増補改定) 社会文化生態学の試み』 京都大学学術出版会 第二版(増補) 2001 (初版 1996) 

お薦め度: ★★★☆☆

一口コメント: まだ完全に読んだわけではありませんが、1993年の 矢野暢編集責任 『地域研究の手法』 (『講座 現代の地域研究 一』 弘文堂に、前田成文名の論文の再構成といった感じなので、注は詳しく新しくなっているものの、それほど論旨が深化しているとは思えません。

逆に、『地域研究の手法』のほうが、東南アジア研の他の個性的な碩学たちがそれぞれの地域研究観を語っている上で、貴重であるといえます。ちょっと手に入りにくいかもしれませんが、『講座 現代の地域研究』は、関心のある方は、全巻読む価値があると思います。というより、私は読みたい^^?

実は、京都大学の東南アジア研究センターは以前からチェックしていました。既に「しばやんの本だな」にも地域研究関係の本はかなりリストアップしていますが、京大系の研究者は独特というか、つまり梅棹忠夫、今西錦司と、フィールド科学を専門とする、まあ俗にいう京大学派の伝統があって、ちょっと変わったところでは、ジャーナリストの本多勝一も京大の探検部出身ですよね。

自分が研究者に関心を持ったのも、梅棹忠夫の『知的生産の技術』 岩波新書 1969ですから、京大の学風は、はっきりいって好きです。

さて、地域研究というと、まとまったシリーズとして、1990年初頭の矢野暢所長?の頃の2セットがあります。

企画編集代表 矢野暢 『講座 東南アジア学』 (全10巻 別巻1) 弘文堂 1991

矢野暢編集代表 『講座 現代の地域研究』 (全4巻) 弘文堂 1993

さはいいなん、『講座 現代の地域研究』の第1巻の『地域研究の手法』しか持っていませんが、研究者兼フィールドワーカーたちの熱い思いがこめられているように感じました。

たぶん、このシリーズの後に、地域研究叢書が始まったと思うのですが、まあそうそうたる研究者集団です。

ともあれ、日本の地域研究のレベルは決して低くないので、これらの先達たちの研究を貪欲に学んでいこうと思います。

ではでは^^?

P.S.

ところでもうお気づきかもしれませんが、これらのフィールドワークや地域開発にかかる書籍がブームのように刊行されたのは、1990年の初頭から半ばのことでした。つまり、私の大学時代にはなかったわけです。もし、これらの書籍や研究者に、大学の3,4年生で出会っていれば別の道もあったのかもしれない。

つくづく、めぐり合わせの妙ということを思います。特に、今、大学生や高校生でいる若い人たちへ、「本は新しいものを買いなさい。特に教科書レベルのものは絶対に大型書店で新刊で買うべきです。」

本当に、若い人たちがうらやましいと思いますね。ともあれ、私のHPやブログは自分がやってきたことや理解したところの整理という意味も含めてつくっています。

とにかく学生時代、何も手がかりがなかった。いまでこそ、研究案内は分野ごとにいくらもありますが、当時は先生にご指導いただきつつもまったくの手探りでした。

私は、このHPやブログの自分の書いた記事によって、仮に全て自分の本なりをなくしたとしてもあるレベルまでは簡単にリセットできると考えています。つまり、「しばやんの本だな」は、まさに自分が‘生き残る’ための文献リストなのです。

そういった意味で、ぜひ‘私’の歩いてきた途を「ショートカット」としてご利用していただけたらと思います。

★しばやんの本だな=ブックリスト★ (ひらかれた‘知’の世界をめざして!)http://homepage1.nifty.com/arukunakama/contents.htm

特集: お勧めの手引き(読書案内)

リファレンスワーク入門

開発学研究入門(基礎理論編)

民俗学の視点

文化人類学の1990年代を振り返る

『開発コミュニケーション』をめぐる課題

キリスト教および‘力’をより深く理解するために(読書案内)

自分の頭で考えるということ

アジア島嶼部研究のダイナミズム

実践的」外国語の身につけ方

★アラブ・イスラーム関係★

<勉強会>

アラブ・イスラーム地理書・旅行記勉強会

<学習ガイド>

アラブ・イスラーム学習ガイド@1991

アラブ・イスラーム研究案内@2003

2008年3月20日 (木)

開発‘民俗’学を語るからには

ということで、最近、柳田國男の研究を始めています。

もともと学説史は好きで、学界で誰が何をやっているかについて常にウオッチしている(大学で学んだアラビア・イスラーム研究の頃から)つもりなのですが、この‘民俗学’の世界も奥が深い。今までに読んだ主な概説書や学説史は以下のとおり。

1. AERA MOOK 『民俗学がわかる。』 朝日新聞社 1997

2. 小松和彦+関一敏編 『新しい民俗学へ 野の学問のためのレッスン26』 せりか書房 2002

3. 上野和男、高桑守史、野村純一、福田アジオ、宮田登編 『民俗研究ハンドブック』 吉川弘文館 1978

今、3をひいゆう言いながら読んでいるのですが、これが実におもしろい。要は研究分野ごとの研究解題と文献案内なのですが、1978年当時とはいえ、純粋な「柳田」民俗学の後継者たちが執筆しているだけあって、非常に内容が濃いです。

また、結局、日本の「民俗学」を語るには、「柳田國男」理解が必要不可欠であることも、改めて実感しました。

ところで、3月15日~18日まで一時帰国していたのですが、ここでおもしろい柳田國男本を発見。

4.福田アジオ 『民俗学者 柳田国男』 神奈川大学評論ブックレット 御茶の水書房 2000

08032802 お薦め度: ★★★★☆

一口コメント: 非常に簡潔に柳田國男の業績と時代背景がまとめてあると思います。業績というか彼の「考え方」を身近な直系の弟子筋の方が語っているので、國男の内面にまで突っ込んだ記述がほろりと見られます。また日本の民俗学の流れも、さらりと触れています。

わずか66ページのブックレットですが、結構内容は濃いと思います。でも逆に、ちょっと割高な感じが^^?

5. 中尾文隆/平成柳田国男研究会編著 『ポケット解説 柳田国男の民俗学がわかる本 逆立した柳田像を重層的に検証する!』 秀和システム 2007

4は、まさにお弟子さんというか日本の民俗学界の重鎮、5はありがちなアンチョコ本と思いきや、まじめな柳田論、特にその思想と歴史背景というか周辺状況にも目を配った概説書です。

ところで、4のブックレットから、一点、引用させてください。福田氏いわく、

「次に(柳田国男の)二番目の特色ですが、彼は経世済民ということを出張しました。現在柳田国男を研究する人たちは、柳田国男の学問の特色を経世済民という言葉で捉えています。しかし柳田国男自身はこの経世済民という四つの漢字で自分の学問を説明しませんでした。普通には「世のため人のため」という言い方をしました。あるいは学問救世と説明しました。・・・ とにかく柳田国男は自分の学問は世のため人のためにする学問だということを言いました。言い換えれば実際の社会で要求していること、あるいは社会で起っていることを解明することを民俗学の使命としたわけです。」 上掲書(4) 15ページ

まさに、私が、大学時代に漠然と感じた「知は力なり、ただしそれは開かれたものでなくてはならない(1991)」ということと同じことをいっています。

知識や学問は人を傷つけたり貶めるものではありません。やはり人や世の中の役に立つものであってほしい。

そもそも日本の「民俗学」が「世のため人のため」のものであると創始者自身が語っていたことを知って、この「開発民俗学」を提唱する意を強くしました。

P.S.

趣味の学問ですが、学界のルールには従うものとします。これは、鶴見良行氏が「裸足の研究者」でありながら、学界のルールにこだわったことは本人も、また周りの人も等しく認めているところです。

鶴見良行 『東南アジアを知る-私の方法-』 岩波新書 1995

アジア太平洋資料センター[編] 『鶴見良行の国境の越え方』 月間オルタ増刊号 アジア太平洋資料センター 1999

でも、また鶴見さん自身も志を大切にした人であったことを思い出しました。ジャーナリストの鎌田慧もそうだよな。私も自分のやっていることの方向性が間違っていないことを改めて実感しています。

あと蛇足ですが、柳田国男、宮本常一、鶴見良行の誰もが、本格的には30歳を超えてから、それぞれの学問的なキャリアを独学でつくりあげています。柳田氏が、『後狩詞記』を出したのが35歳、宮本氏が『周防大島を中心としたる海の生活誌』をアチック・ミューゼアムから出版したのが29歳、ただし彼が研究生活を始めたのはアチックに入った32歳。鶴見氏が初の論文集『反権力の思想と行動』を刊行したのが、44歳のとき。

これを考えたら、しばやんも全然OKじゃんという気がします(何が?)。

並べるのもおこがましいですが^^?

開発民俗学への途~第二ステージへ

3月15日から18日まで一時帰国していました^^?でも、日本って本当にいいですよね。早速、おもしろそうな本を仕入れてきたので、以下、紹介します。

伊藤亜人 『文化人類学で読む日本の民俗社会』 有斐閣選書 有斐閣 2007
菅原和孝編 『フィールドワークへの挑戦 <実践>人類学入門』 世界思想社 2006
井上真編 『躍動するフィールドワーク 研究と実践をつなぐ』 世界思想社 2006

期せずも、菅原氏は、京都大学系(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)、井上氏は、東京大学系(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)です。改めて東大、京大の層の厚さを実感。

この開発援助業界に入って15年、仕事をこなすことは当然として、趣味として「開発民俗学」なるものを提唱してきました。孤軍奮闘という感がなかったわけではないですが、ようやく学界でも実務家の経験がフィードバックされるようになって、実際に使える学問、実践の学問というものが生まれてきた気がします。

今は、マニラですが日本に帰ったら、彼ら先生とそのお弟子さんたちとのネットワーキングも具体的に考えたいです^^?

まあ、今でもできるか。メールも発達しているし。

P.S.

mixiで、「開発民俗学」というコミュニティを運営しています。このブログでの開発民俗学を深めると同時に、コミュニティという特性を生かした参加者との対話を通して新たな第二ステージに突入です。

★★ Life, I Love You!の最新記事 ★★

ここでは、しばやんのアナザー・ワールドの「Life, I Love You!」というブログの最新記事を紹介します^^? よろしくお楽しみください。

ハウンド・ドック 『ロックス・トゥ・ロール(Rocks to Roll)』 泣ける唄が聴きたい! 2008年3月20日 NEW !

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/rocks_to_roll_6b7f.html

オムニバス 『R35「アールサンジュウゴ)」Sweet J-Ballads』 泣ける唄が聴きたい 2008年3月19日 NEW !

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/r35sweet_jballa_1f7e.html

CHAGE AND ASKA 『SUPER BEST I & II 』 泣ける唄が聴きたい 2008年3月12日 

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/chage_and_aska__2492.html

街の風物詩 「ジプニーと町屋」 世界のまちかどから^^? 2008年3月11日 

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/post_8f11.html

アートペッパー 『ミーツ・ザ・リズムセッション』 泣ける唄が聴きたい 2008年3月9日 

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/post_69b1.html

ソニー(SONY) 『CDP-X5000』 20年たっても現役 2008年3月8日

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/sonycdpx5000_e57b.html

2008年3月11日 (火)

佐野眞一責任編集 『宮本常一 旅する民俗学者』

何度となく取り上げている宮本常一氏の著作の水先案内として、とりあえず以下の本を紹介します。

Photo 佐野眞一責任編集 『宮本常一 旅する民俗学者』 河出書房新社 KAWADE道の手帖 2005年4月

お薦め度: ★★★★☆

直接、この本を手に取った感想として、

「ブームの宮本常一? 『宮本常一 旅する民俗学者を手にして)』 2006年3月30日 としてまとめています。

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/n00030.htm

また、同じ国際開発コンサルタント仲間のaxbxcxさんと、以前、こんなやり取りをしました。

「唄を聴いたら現地にいこう!私の現場主義」 2007年4月28日

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2007/04/post_8937.html#comments

このやり取りの中で、私も自分の過去記事をまとめていますので、ご参照あれ^^?

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P.R. こちらもどうぞあ立ち寄りください^^?

しばやんの本棚 http://homepage1.nifty.com/arukunakama/blist.htm

開発援助に関心のある方へ http://homepage1.nifty.com/arukunakama/odainfo.htm

開発学研究入門 http://homepage1.nifty.com/arukunakama/r004.htm

アマゾン.comの書評 http://www.amazon.co.jp/gp/pdp/profile/A3H7QFD50WW4Z3?ie=UTF8&%2AVersion%2A=1&%2Aentries%2A=0

2008年3月10日 (月)

「‘自信’がないのではなく、‘自覚’がない」

ということを、最近感じている。

人には立場というものがある。‘役職が人をつくる’。‘立場として’いわなければやらない・やらなければならないことがある。

翻って、自分は‘自信’がないということを、やらないことの言い訳にしてこなかったのか。

自分の立場という‘自覚’があれば、そのような甘えたことは言っていられないのではないか。

自分は‘できない’人間ではない。やらなければならない‘立場’にある‘できる’能力のある人間だ。

結局、‘自ら’がやらなくてはならないことを‘覚る’。

---- あっ。 だから 自覚か ----^^!

お後がよろしいようで^^?

2008年3月 7日 (金)

‘わたし’の平和学~冬が来る前に!

さて、昨年(2007年)に「冬が来る前に!」というテーマを立てたのですが、その記事の更新が滞っていました。でも考えてみると取り上げたい内容は、まさに、‘わたし’と‘平和’とのかかわりでしたので、すっぱりとタイトルを替えて、そして、また過去の記事を振り返りながら言及をすすめていきたいと思います。

まず、ご紹介したいのは以下の記事です。

1.わたしと「平和学」と「開発援助(本職」です^^?)」とのかかわりについて

フィリピンで開発を考える」(2006215日)というタイトルですが、私の関心の移り変わりと、なぜ「開発民俗学」をとなえているのか、それをどう仕事に生かそうとしているのかに触れています。

2.「なぜ今、中世アラブ・イスラーム地理学・旅行記なのか?(同時多発テロ一周年によせて) 2002年9月1日

キーワード: 同時多発テロ、テロとの闘い、中東世界、湾岸戦争、イランイラク戦争、パレスチナ問題、中世シチリア、「寛容と共生」の精神、ノルマン朝、パレルモ、12世紀ルネサンス、「平和の家・戦争の家」、中世イスラーム世界、「知(識)を求めよ。中国からモロッコまで、ゆりかごから墓場まで、マグレブ(モロッコ)から中国まで」(アラブのことわざ)」などでしょうか。

ここではあえて目の前の現実(現在)だけに一喜一憂することなく歴史的にその地域と背景をとらえなおすことの重要さを述べています。

3.「2年目の9.11(ナイン・イレブン)の前に考える (自分の頭で考えるということ) 2003年9月9日

実は、5年も前の記事ですが、基本的に私のスタンスは変わっていません。

キーワードは、エリトリア、東ティモール、千年王国、宮本常一氏が聞いた、渋沢敬三氏(終戦当時財務大臣)の日本の戦争放棄(第9条)の成立にかかる秘話、ノーム・チョムスキー、9.11、死の商人、軍隊と警察、むのたけじ、山のかなた、アフガン戦争、イラク戦争、などでしょうか。

思えば、1997年にエリトリア、2001年には東ティモールと、紛争直後の地域に開発援助の調査団員として入国させていただいて、期せずも、非常に貴重な経験をさせていただきました^^?

今でもフィリピンのミンダナオの紛争地域の仕事にもかかわっているし、私もそのうちに「平和構築専門家」の看板を掲げようかしらん^^?

「社会配慮」の専門家として紛争地域への社会配慮は難しいだけにチャレンジングですし、そもそもアラビア語を学んだことをきっかけに地域研究や歴史研究の視点を身につけた(まだ修行中ですが)しばやんって結構、奇特な経歴の持ち主かもしれない。

‘時代’がやっと‘しばやん’に追いついてきた*って感じ^^? なわけないか^^?

*ダウンタウンの浜ちゃん(H・Jangle with T)の「WOW WARTONIGHT」(1997年)という曲の歌詞より。

ご参考まで^^

このブログ内の過去記事をみるには、「’わたし’の平和学~冬が来る前に!」のカテゴリーを参照ください。 → ぜひ、初めての方はご一読を^^?

2008年3月 4日 (火)

米坂浩昭 『裏道国際派』

 

 

08030400 米坂浩昭 『裏道国際派』 新潮社 OH!文庫 2000年

 

同業他社(IC NET) 米坂元社長の記念すべき著作。

 

2000年10月10日発行なのですが、あまりの赤裸々な内容に業界内部の人間にも衝撃を与えました。

 

あまりに語られてこなかった開発コンサルタントと援助業界を、日本の援助機関、国際機関、民間コンサルタントと経験してこられた幅広い視点で解説してくれます。

 

特に、「第四章 若い人たちへ」は、国際協力や国際貢献を職業として考える高校生・大学生に広く読んでもらい秀逸なガイドです。

 

多くの仲間が、これをもっと若い頃に知っていれば、とぼやいていました^^?

 

P.S.

 

若い仲間と話していて、日本では絶版でなかなか手に入りにくいとか。新刊では手に入れにくいかもしれませんが、がんばってぜひ読んでみてください。

 

ではでは。

 

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P.R. こちらもお気軽に立ち寄りください^^?

 

しばやんの本棚 http://arukunakama.life.coocan.jp/blist.htm

開発援助に関心のある方へ http://arukunakama.life.coocan.jp/odainfo.htm

開発学研究入門 http://arukunakama.life.coocan.jp/r004.htm

2008年3月 3日 (月)

「人生たかが30000日」

Pict8344_2One day at Manila

March 3, 2008

Konica-Minolta DiMAGE Xg

5.7-17.1mm/1:2.8-3.6

F2.8, 1/60sec. Wide

という言葉を、たしかmixiでブラウズして発見しました。「辛いことがあっても人生たかが30000日という友達の言葉で、くよくよせずに生きています」といった文脈であったと思います。

でもそれにしても、それってすごいことだと思いませんか^^?「たかが」というか、日にちで考えると、がんばって80歳まで生きても30000日にたどり着かない。

ということは、逆説めきますが、その一日一瞬の貴重さがみえてくるようです。

あなたにとっても私にとっても人生たかが・されど30000日の一日を、この地上でシェアーしている。この一瞬の出会いは、30000の一の確率以下の奇跡であると思うと、もっと今日を大事にしないといけないと思いました^^?

ではでは。

P.S.

フォトエッセイ 詞集 『言の葉拾い』 を、このブログで再開します^^?

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フィリピン・ファン