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2008年11月25日 (火)

宮本常一 『瀬戸内海の研究』 初めの一歩として

まず、というか自分の決意として、えいやあと買ってしまいました^^?

宮本常一 『瀬戸内海の研究 島嶼の開発とその社会形成-海人の定住を中心に』 未来社 1965年初版 2001年4月 復刊 第1刷  定価32,000円

でも、誰が買うんだろう、こんな高い本を!?

宮本常一氏、本人が唯一自分の意思で書いたと語る、博士論文となる約700ページの大書、豊橋の精分館書店という愛知県でも1,2を競う大型専門書店に在庫があるのをみて、清水寺から飛び降りる気で、買ってしまいました。

この本は、以前紹介した『宮本常一 旅する民俗学者』 KAWADE道の手帖 河出書房新社 2005年の木村哲也氏の「宮本常一ブックガイド」の18番目に紹介されているのをみてからずっと気になっていました。木村氏の紹介を引用させていただくと、

「前略 ~ 宮本の著作にしては珍しく、聞き書きがほとんど出てこない。そのためたいへん読みずらく、宮本の著作の中では最も読まれていない作品の一つではないだろうか。

しかし自治体の境界によって分断してしまうと見えにくくなる空間を、「瀬戸内海」と設定してその歴史や文化の全体像を提示しようとする宮本の姿勢は、今もって古びていない。ブローデル『地中海』の紹介以前に、同じ試みを宮本が自力で達成しようとしていたことに驚く。 ~後略~」

私は、ブルーデルうんぬんのくだりに引っかかっていました。

というのは、ちょうど私が大学生の終わりのころ、藤沢書店からフェルナン・ブローデルの『地中海』が日本語の全訳として刊行されだしたころで、アラブ・イスラーム学界というより日本の人文科学学界のどこででも非常に大きく取り上げられていたからです。

手元に学生時代に古本でかった第1巻があります。奥付の記述によると初版が1991年11月、4刷りが1992年3月、一冊で定価8800円で、確か5冊モノの大書が半年で4刷りもされたとは、如何に売れたかがわかるというものでしょう。(ちなみに、古本で6500円)

結局、その後、ブローデルの『地中海』は軽装版もでたりして、そのブームは1990年代を通じて続いたのですが、結局、私としては頭の片隅にブローデルがありという感じで常に気にしつつも全然、一行も読めていません^^?

でもまあ、ブローデルの『地中海』を引き合いに出すとは、木村氏も恐るべし。ブローデルと宮本常一の着目点の鋭さと、その違いについては、別の論客も別のところで触れていますが、確か私のうろ覚えでは、「ブローデルの著作は、ウォーラーステインの近代世界システム論に影響したとか、フランスのアナール学派のみならず、哲学や近接の人文科学分野に大きな影響を与えたが、宮本の‘それ’はほとんど日本においては、網野善彦や鶴見良行など一部の亜流?(正確なたとえは忘れましたが)に引き継がれたのみで、ほとんど学界では省みられなかった」というような主旨の発言を、なにかの座談会で誰かが言っていました。(正確なところは後で調べておきます。)

まあどう考えても宮本氏は学界の主流ではないし、逆に象牙の塔の中の人には想像もつかないところまで‘歩いて’いってしまったことを考えるとまあ、それが順当というか、それもまたよしという気もします。

ともあれ、私には宮本のこの論文があるということで、日本の‘実体’という現場から、私の海洋民俗学の探求も始めていこうと思います。

ではでは^^?

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