海洋民俗学ことはじめ 『海への憧れ』 その1 海から陸地をみてみると
さて、ミクシイで最近、『海洋民俗学~海からみる世界』というコミュニティを立ち上げました。まあ、この歩く仲間でも『海に生きる(海洋民俗学の世界)』というトピックを持っているわけですが、これと連動させながらしばやん流、海洋民俗学を徐々に綴っていきたいと想います。
とりあえず過去記事ですが、HP 歩く仲間に書いた記事のアーカイブから一篇をご紹介します。
全文はこちら: http://homepage1.nifty.com/arukunakama/n00023.htm
2004年9月2日
海への憧れ-海は隔てるものではなく、つなげるものである。
<アジア島嶼部研究のダイナミズム>
フォト:フィリピン・ボラカイ島
その1 海から陸地を見てみると
もう10年以上も前に、たしか大学時代の何かの寄稿として既に書いた覚えがあるのだが、残念ながら原稿をなくしてしまったので、思い起こす限りで以下に再現してみる。
「海には道がない。今まで、海は人を隔てるものだと考えてきたが、家島彦一先生のインド洋世界のダウ船についての講義(注)の中で「海は人を隔てるものではなく、つなげるものである。」という話を聴いたことと、実際にヨット部活動を行う中で、本当はどうなのだろうかという疑問が湧いてきた。
ヨット部では、ディンギーという二人のりの全長5メートルかそこらの小さなヨットでレース競技の練習をしていた。板一枚下は海という状況でセーリングをしながら海から陸地をみてみると、そうだ確かに、海には陸上の道路みたいな構造物としての道はないかもしれないけど、ちゃんとそれぞれの大きさの船が通る道やルールがあるではないか。
しかも港へは原則、海からしかアクセスできないということに気が付いたとき、先の家島先生の言葉が胸にすとんと落ちた気がした。港は陸の道からしてみれば終点なのかも知れないが、海の道ではスタート地点(始点)なのだ。広大な海の向こうには、まだまだ未知の世界が待っている。世界の国々は海というものを隔ててつながっているのだ。」
確か、ヨット部の部報への投稿であったと思うが、海から陸をみたときに感じた既存の道に縛られない自由さ、陸地にしか道がないと思っていたら、実は、海にも道があることを知った時の感動と、そのような海の道について、丹念に掘り起こして研究をしている人がいることは、その後も、ずっと頭の片隅にへばりついていた。
注:東京大学東洋文化研究所の板垣雄三先生を中心に日本のイスラームに少しでも関係のある研究者を総動員して行われた『イスラームの都市性』という文部省重点領域研究に絡んで、1990年の夏休みには東大で1週間のサマースクール、1991年2月11日に『大学と科学』公開シンポジウムとして『都市文明イスラームの世界 シルクロードから民族紛争まで』というセミナーが行われた。サマースクールについては、特にまとめられていないが、公開シンポジウムの記録は、非常に多様な問題点と最新の学問成果がコンパクトにまとめてあり、書店では手にはいりにくいが、極めて貴重な記録である。残念ながらこの感銘を受けた家島先生の講義がサマースクールの時の話しだったかセミナーだったか、覚えていない。しかし、確か2回とも家島先生の講義はあったはずなので、その両方ともが相まって自分の頭に染み込んだのであろう。
○ 第5回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会編 『都市文明とイスラームの世界 シルクロードから民族紛争まで』 クバプロ 1991
また、1990年5月に関西大学で、日本中東学会の全国大会が開催されたこともあり、大阪の大学ではいたが、比較的、関東を拠点に活躍されている先生方にも多く知り合う機会を得ていた。自分自身、よく東京へも通ったものだとは思うものの、当時の池田修アラビア語科教授をはじめとする多くの先生方のお誘いがあってのことである。
その他、多分当時にあって、非常に多くの先生方にお会いして知見を広めることができたのは、『地球環境論』を企画いただいた神前進一先生や深尾葉子先生をはじめとする大阪外国語大学の諸先生方のおかげである。あらためて感謝いたします。
(大阪便り[008]及び地球環境論の項も参照ください。)
<その1 了>
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