ワークショップのデザインについて 国際協力や開発援助関係者が東日本大震災でできること<その2>
(その1の続きです。)
・アクティビティ(ワークショップA)
ワークショップAでは、地区ごとの問題点・課題と、将来への展望をあげてもらうことを目的として2つのアクティビティを行う。
A-1 全員参加による地図とスケジュール表つくり (約1時間)
作業を行うのは、多くても7~8名くらいが限度なので、出席者が多い場合は、地区を2つか3つにわけて、それぞれ現地に詳しいメンバーを中心にグループで、下記の資料をまとめさせる。調査者及びカウンターパートは、このグループワークには直接参加せず、タイムキーパーとグループの作業状況をみながら、必要に応じて詳細の説明や資料への加筆を求めたり、個別インタヴューを行う。
1.資源マップ (リソースマップという)
A1かB1の模造紙を準備する。地区のなかで絵心のある人に基本はフリーハンドで地区の主要施設(道路、公共施設、ランドマークなど)を書いてもらった上で、以下の作業を行う。
・被害が甚大なところの網掛け (次に下記のランク分けをする)
A)実施中プロジェクト
網掛け部分に直接、事業名、内容、実施主体、プロジェクト期間 (始まりと終了予定を押さえること)
B)実施してないところ
網掛け部分でまだ事業が実施されていないところについて、下記の仕分けと優先順位をつける。
B-1 すでにプロジェクトの計画があるもの
とりあえずわかっている範囲の内容を上記にならって書き込む。
B-2 新規のプロジェクト
AとB-1以外で必要なプロジェクトを地図上に落とし込む。
2.スケジュール表
2-1 営農カレンダー
1年間の営農・漁業についてのシーズンカレンダーを作る。特に第一次産業の復興にあたっては、現実の作付や漁業についての開始時期を押さえることが必須である。
2-2 スケジュール表
今後、数年にわたる上記1.資源マップで抽出したプロジェクト(A:実施中、B-1.計画中)の実施時期を落としこむ。
ここまでで、現地の現状の把握を行う。
A-2 全員ワークショップ (約1時間)
A-1で作成した資源マップとスケジュール表(2種)を元にプレゼンテーションと全体討議を行う。アウトプットは、A-1と同じく模造紙に直接、書き込みながら参加者全員の面前で取りまとめていくこと。
1.プレゼンテーション (20~30分)
A-1 で準備した1.資源マップと2.スケジュール表について、グループごとに発表をしてもらう。1グループのプレゼンテーションは5~10分を目処。事実確認の質問のみにとどめ、次の全体討議の時間を確保する。
2.全体討議 (40~30分)
1で行った各グループ発表内容と全体についての討議を行う。討議内容には、最低限、下記の内容が含まれることが望ましい。
a. 実施中のプロジェクトについての問題点と課題の抽出
b. 実施していないところ(B-1.計画があるところ、B-2.計画のないところ)における新規プロジェクトの優先順位(※)と課題の抽出 ※基本的に計画があるところについてもゼロベースで見直すこと。
c. 全体を通した実施体制の見直し。
・実施中のプロジェクトからの振り返りを具体的にしてもらうこと。
・特に新規プロジェクトについては、実施主体と予算の確保、スケジュールについてできる限り具体的にスケジュールに落とし込む。
出来上がりのアウトプットとしては、下記のものが考えられる。
1)実施中のプロジェクト毎の問題点と課題、
2)新規プロジェクトの概要一覧、
3)全体のスケジュール表(実施中、新規を含む)、
4)実施体制の見直し内容(レッスンラーント、組織図など)
(続く)
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