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2012年1月22日 (日)

【es005】そもそも‘開発コンサルタント’とは? 開発援助‘業界’と開発コンサルタント論

初出: facebookページ 歩く仲間 2012年1月8日

http://www.facebook.com/#!/note.php?note_id=344282068932472

開発コンサルタント論、これは非常に簡単であると共に非常に難しいことであるといえる。

まず、なぜ簡単なのか。それは開発援助の実務の世界では自明のことであり、特に開発援助‘業界’の内部者にとってはいわずもがなの最重要なステークホルダーのひとつであるということ、ただし、その全貌についてどこまで開発コンサルタントといわれる人自体が理解しているかについてはかなり個人差があることは否定しないが、ともあれ‘あたりまえ’のものであるのだが、やっかいなのは後者。具体的には、国際開発学研究者と国民、両者における‘開発コンサルタント’に対する理解は、ほぼ絶望的に薄く、そもそも‘社会的’に認識されるにいたっていないのではと思うような局面すらある。

日本の社会と開発コンサルタントとのかかわりについて、私見の及ぶ範囲で説明させていただくと(筆者は1970年生まれ)、見えない存在から、露出したかと思えば、1980年代後半のODAバッシングの渦中で、発展途上国の貧しい人たちの役には‘ほとんど’たたないばかりか、貧しい人たちや少数先住民を抑圧し追い立てるような巨大開発で、一部高官の私財の蓄積に貢献?し、独裁政権や軍事政権を‘公に’支えたダーティーな日本の資本主義の尖兵である商社、建設業者、メーカーの、さらに奥に影に隠れたフィクサー(暗幕)もしくはブローカーみたいなものとしてで、確かに直接にマスコミや政治論争の場に引っ張り出されることは少なかったと思うが、非常に怪しげで訳のわからないものというイメージが定着してしまった。いや、その後に及んでも‘存在’すら表立って認められなかったというほうが正しいであろう。

私は自分自身のこととして鮮明に覚えているのであるが、1992年に開発コンサルタントに就職が決まったとき、大学の恩師から、怪しげなブローカーみたいな職種について気の毒がられたという記憶がある。正確な言葉は覚えていないのであるが、へんなところに入ったねえというようなニュアンスのことを言われた。

この日本の一部の識者によるODAバッシングの経緯とその後についても、もう30年前の歴史的な‘事実’としてきちんと検証しなくてはならないと思うが、ともあれ1990年代の当初は、開発途上国の開発を仕事にするなんてとんでもないという風潮が大学人にはあったことは明記しておくべきであろう。

それは、そのまま当時から現在にいたる‘学界’そのものの立ち位置と決して無関係ではない。

国際開発学会が創立20周年を数えるが、果たしてここに所属する研究者(学生会員を含め約2000名)の何人が、開発援助業界と開発コンサルタントについて‘正しく’知っているのであろうか。

何が‘正しい’のかも恣意的なものかも知れないが、事実として最低限押さえておくべきことは、開発コンサルタントとは、欧米流に言えば‘コンサルティング・エンジニア’、日本で言えば‘技術士’という国家に認証された‘エンジニア’の開発専門家であるということである。

いやこの20年間の参加型開発に見られる草の根アプローチの開発現場では適正技術や人類学や社会科学系のバックグランドをもった開発フィールドワーカーに注目が集まっていて、それこそ、開発のプロフェッショナルと思われている風潮があるが、いえいえ過去もこれからも開発コンサルタントの主流は‘エンジニア’に代表される‘技術’をもった専門家である。

この研究では、‘開発コンサルタント’そのものについても、開発援助研究のなかの非常に大きなポーションを占めるステークホルダーの一つとして分析を進めていく予定である。

ともあれ、開発援助‘業界’そのものが、一般の人には見えづらくわかりにくい。特に、この研究は、国際開発学会に所属するような(専門的な)研究者に、業界と、開発コンサルタントというものについて理解してもらうことを目的の一つとしている。

そもそも私の「歩く仲間」プロジェクト自体が、一開発コンサルタントが直面した‘世界’と‘開発’をめぐる情報発信であることを思えば、どの講座やエッセイを読んでいただいても、一つの開発コンサルタントのフィルターを通った世界認識論であることに気づかれるであろう。

とりあえず、まとまった言及として下記の2つの記事に目を通していただくことをお願いいたします。

対談・開発コンサルタントとは? 2004年6月1

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/ondc000.htm 

‘開発民俗学’への途(第1部)連続講座> 2000年7月15日~2008年1月27日

http://homepage1.nifty.com/arukunakama/r0000.htm 

この項、了

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