【歩く仲間通信20191230】愛知用水と愛知海道(PDF付)
みなさん、こんにちは。
しばやんこと柴田英知です。不定期発行の「歩く仲間通信」です。
初めて、ご覧になる方もいらっしゃるかと思いますが、わたくしの近況報告と、みなさんの研究や実践活動などに、ほんの少しでもお役にたてたらと考えて発信をしております。
いよいよ2019年の年の瀬となりました。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
今回のお題は、ふたつです。
1.修士論文を書き終わって思うこと
実は、今年の9月に修了しており前回の通信でもふれさせていただいたので、またかよと思われるかもしれません。
しかし、46歳で大学院に入院して三年半でなんとか論文を形にすることができたということは、やはり50年近く生きてきて感慨深いものがあります。
数年前に大学時代の同級生にあって、「柴田は大学に残るものだと思っていた」といわれたように、大阪外国語大学のアラビア語専攻を卒業するころには、東西交流史の歴史の分野で大学院に進学しようとして、実際に大学院浪人をしていました。
結局、開発コンサルタントという実務の世界に入って、さらに紆余曲折があって5つ目の仕事が今の自営業です。ハローワークにお世話になったり、職業訓練で専門学校に通ったり、まあ人生いろいろありました。
一番の収穫は、大学の先生の仕事は、研究論文を書くことと大学などの所属機関において、担当する学問分野の全責任をおわなければならないという二点であるということを知ることができたこと。
確かに教育や地域連携など今の大学の教員に求められるものは、昔にくらべて、はるかに増えていますが、わたしが博士前期課程の教育の過程で常に問われたのは、それは「何学の研究ですか」ということでした。
おそらく社会人大学院生の誰もが戸惑うのが、自分のやって来た実務経験をどの学問分野で切り取るのかということだと思います。
わたしも、半年ごとの発表ごとに、論文のアウトラインを、3回も、4回も書き直しては指導を受けて、本文を書き始めるまでに2年も3年もかけてしまいました。
地域開発に関しては、実は、さまざまな学問分野から研究をすることができます。結局、採用はしなかったものの、多くの切り口を試行錯誤の過程で検討することができたのは、本当にさいわいなことでした。
名古屋市立大学の人間文化研究科のある滝子キャンパスの図書館は、ほぼすべてが開架式で、とことん昔からさかのぼって調べたいという、わたしみたいなタイプの学生にとっては、新しい本が少ないことよりも、古典的な基本書が揃っているほうがはるかにメリットがありました。(新しい本は自分で買う)
ともあれ、一言でまとめると大学の研究者は、学問の守護者でなくてはならないということが、本当によくわかりました。
さて、愛知用水研究のその後ですが、12月9日と16日に、在住の岡崎市の図書館市民情報センターのりぶらで、りぶら講座とという市民講座でお話をさせていただきました。
その前後にも、お世話になった関係者にお礼参りに論文を製本したものをお届けにいったり、わたしが参加している勉強会などでもプチ講座をやらせていただいております。
名古屋近郊の方に限りますが、新年年明けにもセミナーを開きます。ご関心のある方は、ぜひ、お気軽にお越しください。
2.愛知用水と忘れられた愛知海道-誰も知らない国道23号線バイパスの謎 セミナーのご案内
日時: 2020年1月16日(木)午後7時から8時半
概要:
2019年12月の岡崎のりぶら講座の内容を、名古屋でも披露させていただきます。(添付のPDFファイルを参照)
12月16日のセミナーの内容はこちらを参照。
■愛知用水と忘れられた愛知海道 【せかトモセミナー20191216】
(1/2)
https://www.youtube.com/watch?v=pYjj9IWXdOk&feature=youtu.be
■愛知用水と忘れられた愛知海道 【せかトモセミナー20191216】
(2/2)
https://www.youtube.com/watch?v=HUTVjZ1tO_k&feature=youtu.be
愛知県の三河地方だと実はあまり知らない方もいらっしゃる方もいるかと思いますが、長野県の御嶽山の水を集めた木曽川の水を多目的に利用する利水プロジェクトが愛知用水です。
2016年4月から2019年9月まで名古屋市立大学の大学院でわたしが研究していたのが、この愛知用水の歴史にまつわる物語でした。
2005年に、愛知用水を発願した久野庄太郎さんが著した『躬行者』という個人雑誌の全100号(1962年10月から1971年2月まで原則、毎月刊)を手にしたことから、愛知用水の隠された秘史が書かれているかと思って分析をはじめたら、実は、『躬行者』のテーマは、彼が手掛けた愛知用水ではありませんでした。
なんと、愛知用水ではなく、その後に久野が手掛けた名古屋南部臨海工業地帯や、三重県の四日市から名古屋をつなぐ名四国道を東三河の豊橋にまっすぐにつなぐ「愛知海道(第二東海道)」の建設推進のプロパガンダがこの雑誌のメインテーマでした。
愛知用水をつくったひとたちは、その後に、愛知県の内陸部の農工一体開発をすすめるために、幅60メートルの片側2車線で中央の共同溝に水や燃料、上空には高架線がはしる自動車専用道路をつくり、道路の片側2キロメートル、つまり両側で4キロメートルの地域を区画整理して2割減反により農地や宅地、工業用地をつくろうとしていたのです。
残念ながら、この自動車専用道路は、久野が雑誌を発行していた1970年の頭の時点では、ほとんど事業の進捗がなく陽の目をみませんでした。
ところが、なんとこの道路計画は、伊勢湾岸道や国道23号線のパイパス路線となぜか一部一致するのです。ということは、つまり、久野らが始めた事業は50年間をかけてやっと実現したということもできるのです。
修士論文では、『躬行者』という一次資料の発掘(なんと公立図書館に2冊しか納められていない)と、愛知用水と愛知海道の関連性を示唆したのみにとどまりましたが、この講座では、この最新の研究結果をふまえて、愛知用水の日本の地域開発史における意味と、愛知海道のミステリーについて語ります。
お気軽にご参加ください。
日時: 2020年1月16日(木)19:00から20:30まで。
場所: 名古屋市中区丸の内3-17-24 NAYUTA BLD 8階イベントスペース(地下鉄桜通線 久屋大通駅1番出口から徒歩5分。1A出口ではありません)
主催: 歩く仲間 柴田英知
申し込み期限: 当日参加も可能
申し込み先:下記のE-mailあてにご連絡ください。
申込内容:①お名前、②連絡先(E-mailアドレスあるいは携帯番号)、③興味と関心のありか(任意)
参加費: おひとり様 1,500円
では、みなさん、会場でお待ちしております。
★秘密のおまけ
ここまで読んでいただいた方のみの特典。期間限定(2020年1月3日まで)で、しばやんの大学院に提出した修士論文のPDFファイルをダウンロードしていただけます。
※終了しております。閲覧希望の方は、メールでご連絡ください。
個人的にご覧いただくのみでお願いいたします。無断引用や配布はご遠慮ください。※2020年中に査読論文として一部を公刊する予定です。
ダウンロードしていただいた方は、ぜひメッセージをお願いいたします。研究の励みになります。
では、来年もよいお年となりますようお祈りしております。
――――――――――――――――――――――――――
柴田 英知
歩く仲間 代表
名古屋・栄サテライトオフィス
〒450-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-17-24
NAYUTA BLD
https://nayuta-bld.com/
修士(人間文化):名古屋市立大学大学院
専門:中間支援論(イノベーション普及論)、開発民俗学
■個人E-mail
E-mail: bxf00517@nifty.com
■柴田 英知 フェイスブックページ
https://www.facebook.com/shibayan21
■国際共創塾
https://www.facebook.com/groups/ArukuNakamaNet/
■ブログ版 歩く仲間
http://www.arukunakama.net/blog/
■開発民俗学への途…共有編
http://arukunakama.cocolog-nifty.com/kaihatsu_study/
■名古屋市立大学大学院人間文化研究科 地域文化と共生HP
http://www.region-ncuhum.com/
■愛知用水と忘れられた愛知海道 2020年1月16日配布資料PDFファイル
ダウンロード - e6849be79fa5e6b5b7e98193e382bbe3839fe3838ae383bce38391e383b3e3839520190116.pdf
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