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Japanese Folklore and Development (開発民俗学)の提唱(今後の展開方向)

今まで、ずっと「開発民俗学」の適切な英訳(意味としてもことばとしてもしっくりくる)を考えてきたわけですが、2016年10月30日の朝に、ふと思いつきました。
そうだ、素直に、「Folklore and Development」でよいのではないかと。
最近、愛知用水の研究に取りかかっているのですが、その過程で、山崎延吉を知ったことがきっかけでした。その中で、柳田國男の民俗学と農政学、さらには農本主義との接点についての疑問といいますか関心がでてきたのです。
山崎は、明治の6年(1873年)に石川県の金沢に生まれ、東京帝国大学農科大学を卒業し、愛知の碧海郡(現安城市周辺)の安城農林学校の校長かつ愛知県の農政にかかる要職を歴任してのちに帝国農会の主席幹事や国会議員などとして、日本の農民教育と農政に深くかかわりました。
山崎延吉研究には、膨大な研究蓄積もあり、いろいろな論点があるのですが、私の愛知用水研究とのからみでいれば、もともとは愛知用水事業の推進者であった篤農の久野庄太郎、農業技師の浜島辰雄を中心に調べようとしていたのが、どうしても彼らのお師匠さんであった山崎延吉が彼らおよび愛知用水事業の推進に果たした役割自体を深く調べざるを得なくなったというのが本当のところです。
それらの詳細については、修士論文の中で明らかにする予定ですが、山崎延吉を調べようとすると、少なくとも下記のキーワードを押さえることが必要となってきます。
・「安城農林学校」で展開された「開かれた学校」に代表される農民教育方針
・「日本デンマーク」大正から昭和初期に全国的に有名となった愛知県、特に碧海郡の農業先進地。
・『農村自治の研究』 明治41年(1908年)に出版され幾度も改訂を重ねた延吉の出世作。
・『農村計画』 昭和2年(1927年)に出版された「都市計画」に対する農村振興策。
・「農民道』
・「農本主義」
・「帝国農会」
・「小作争議」
・「農村経済更生運動」
・日本の植民地時代の朝鮮における農村振興五ヵ年計画における農村指導
・「全農学校」
・「興村行脚」 本格的には明治39年(1908年)から昭和29年(1954年)の没まで継続的に行われた「農民へ働きかける目的で農村を講演旅行すること」(神谷2001、132頁)
一言でいえば、明治末から昭和初期の日本の農村振興のための農民教育を体を張って実践した人ということでしょうか。「興村行脚」として、日本国内ばかりか台湾、朝鮮、満州に足を伸ばしています。日本農政の神様といわれた中央官僚かつ政治家の石黒忠篤が山崎延吉の銅像によせた讃文によれば、
「先生は愛知農業発展の原動力たるに止らず、各地よりの懇情に其席暖まることなく、行脚の足跡全国台朝に汎く講演の回数一万五千を超えた。嘗て先生の啓発指導に浴したる多数の人は皆其高邁なる識見堅実なる実行を敬慕して忘れ得ぬであろう。」(神谷2001、9頁)
とあります。実は、今年の夏休み、愛知用水というよりむしろ山崎延吉の資料ばかりあさっていました。さいわい、山崎延吉の拠点、安城市は私の住む岡崎市の隣の市で、私の家のすぐ近くの愛知県立農業大学(以前の、追進農場)は、まさに山崎延吉が指導した愛知県農業試験場の下部機関でした。
ともあれ、この数ヵ月、山崎延吉を調べれば調べるほど、彼が愛知用水事業推進に直接間接に果たした役割の大きさと、彼自身の魅力というものに感じ入りました。
ここで疑問というか、課題として浮かび上がってくるのは、そもそも日本の「農本主義」とはなんであったかということがまず一つ、そして私が追及している「民俗学」とは、そもそも何が母体となって生まれたのかという疑問です。
実は、今年の初めに、『民俗学・台湾・国際連盟 柳田國男と新渡戸稲造』講談社選書メチエ(2015年1月)という佐谷眞木人という本を知りました。それ以前にも、柳田國男と南進政策(植民地行政)との関わりについては、川村湊 『「大東亜民俗学」の虚実』 講談社選書メチエ 1996年)という問題提起の一般向け書籍もあったわけですが、佐谷さんの本のほうが、より直接に柳田の心根に迫るような分析を加えていました。
つまり、農政官僚であった柳田がなぜ、民俗学を起こそうとしたのか、その一つが、「国際連盟」の委託統治委員としての挫折と、実際にヨーロッパに足を落として柳田が悟ったこと、それに加えて、なにかもっと決定的なものがあったのではないか。
そのミッシングリンクを、先日、たまたま名古屋市立大学の図書館で見かけた、この研究者の著作が埋めてくれそうなのです。
藤井隆至 『柳田国男 『産業組合』と『遠野物語』のあいだ』 「評伝・日本の経済思想」 日本経済評論社 2008年8月 
藤井氏の著作を調べてみるとさらにこのような大著をあらわしていることがわかりました。
『柳田國男 経世済民の学 -経済・倫理・教育-』 名古屋大学出版会 1995年9月
ようやく手元に届いたところなので、両著とも読み込みはこれからですが、自分としては、一つの結論といいましょうか、今度の研究の方向性がみえてきた気がしています。
今まで、開発民俗学をどのように英訳しようかとずっと悩んでいましたが、ドイツ語起源の「folklore」の精神を柳田が継承したのであれば、フォークロアの原義に含まれる「開発に対抗する後発国としての民族運動」がすなわち「開発民俗学」そのものであるから、あえて「開発」を「民俗学」に付け加える必要はなく、もとより「フォークロア」が含んでいた「開発」を表にだしさえすればよい。
という、シンプルな結論になります。つまり、「開発」と「民俗学」を並べればすむ話で、「開発」の「民俗学」、Folklore of Development や Folklore in Developmentと英訳する必要はない。また、Folkloreにかわる英語を新たに探す必要もなく、Folkloreの内在する意味をはっきりさせるために、Folklore and Development として、日本人以外の読者向けには、Japanese Folklore and Development とあえて「日本の」開発民俗学という言い方をすれば、Folkloreの学問としての可能性を開くことになり、これは、結果として柳田國男の「一国民俗学」を「世界民俗学」に開くことにもつながるという結論(作業仮説)にいたりました。
※上記の記載は、私の今までの研究の成果から自由に作文していますが、日本の民俗学の位置づけや起源について、この本がよくまとまっています。こちらの「フォークロア」に関する説明なども参考にするつもりです。
新谷尚紀 『民俗学とは何か 柳田・折口・渋沢に学び直す』 吉川弘文館 2011年5月
当然、裏付けの研究はこれからですが、この先、5年の私が提唱する「開発民俗学」の方向性が見えてきた気がします。
「開発民俗学の展開 2016年~2020年の中期計画
開発民俗学の研究・実践を次の3つの区分においておこなう。
1.理論研究
「Japanese Folklore and Development, Preliminary Study」というタイトルで、2020年を目標に英文で論文を発表する。
1-1 諸外国における民俗学の起源と現状
日本の民俗学にあたる外国語にはいろいろなものがあります。一番近いとされるFolkloreについても各国でとらえ方が違うようです。そして、Folkloreは、AnthropologyやSociologyともEconomicsとも違うとされています。ここでは、世界に通じるfolkloreの意味とその起源と現在におけるニュアンスについて確認をおこないます。これは、日本の民俗学を説明するにあたって避けて通ることができない最低限の準備作業です。
1-2 柳田國男、折口信夫、渋沢敬三、宮本常一らの民俗学者の「開発」現象に対する想いと考えを確認する。
1-3 上記では主に柳田國男と渋沢敬三、宮本常一にあたるかと思われるが、民俗学者と農政実務家との関わりと「開発実践」について検証する。ここで農政実務家として表にでてくるのは、新渡戸稲造、山崎延吉、石黒忠篤、安岡正篤、那須皓、東畑精一らがまずあげられよう。
1-4 結論としては、「日本の民俗学は、近代資本主義の日本への浸透という緊張関係の中で生まれ、都市部というよりむしろ農村部の疲弊に対する貧困対策を、過去の先祖の生活の知恵に探ろうとした実践学であり、農政への還元はのちには希薄となっていたが、少なくとも柳田國男と宮本常一は現場での調査と実践を中央の政策レベルに結び付けようとした足元からの社会変革のための「学問」であった」という側面があったことを証明する。
1-5 世界民俗学に向けた提言
上記で検証したfolkloreとdevelopmentとの関わりを基盤とした、開発人類学(Anthropology of Development, Development Anthropology)とは違う「Folklore and Development」の研究方法と実践の可能性について提言をおこなう。
2. 事例調査(ケーススタディ)
2-1 「愛知用水の研究」として、修士論文として2018年3月までにまとめる。
地域の重層性とチェンジエージェントの役割を中心に、愛知用水事業を「文化運動」としてソーシャル・イノベーション論で読み解く。ディスプリンとしては、「イノベーション普及学」をベースに、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)論、ネットワーク論、開発コミュニケーション学、地域開発論、参加型開発論など、地域と開発にかかわる議論と方法論を駆使して事例分析をおこなう。
2-2 フィリピンの地方開発論
詳細は未定。できれば、フィリピンへの開発コンサルタント時代の2004年3月から2008年6月までの駐在期間におこなったフィリピンの農業行政機関と現地調査の経験を生かしてフィリピンの地域開発についてケーススタディを行いたい。
3.開発実践
3-1 日本の地域づくり、まちづくり、むらおこしへのコミットメント
適宜、必要と自分の関心に応じて、地域づくりでがんばっている人を応援する中間支援をおこなう。
3-2 地域開発に関するコンサルティング
これは、上記とは違って契約ベースで調査やコンサルティングを行う。クライアントとしては市町村などの行政組織、民間企業やNGOやNPOなどの各種団体。国内外を問わない。
3-3 開発民俗学に関する情報発信
研究成果や実践の過程を(クライアントとの守秘義務に反しない範囲において)、私のもつブログやホームページ、SNSなどのチャンネルを通じて適宜、世界に対して発信する。
私の情報に関するポリシーは、基本、「公開」が原則で、それは、「知は力なり、ただしそれは開かれたものでなくてはならない 柴田英知@1991」というクルドによる。」
以上を、この先、5年ほどの行動指針としてみました。
関心のある方のコメントや応援・激励、議論をお待ちしております。
これは軽く読み流していただいて結構なのですが、私のこの5年の活動の悲願は、自前の研究機関を採算がとれるように独立させることです。スポンサーの申し出をお待ちしております。
もちろん、競争研究基金の獲得にも努力しますが、やりたいことに対して時間と先立つお金が、全然足りません。フィリピンでのフィールドワーク、書籍資料の収集、興村行脚のための旅費などお金にある程度余裕がないと、最低限、必要なことすらが実現できません。
まずは、社会から必要とされるコンテンツ(中身)がないとはじまらないのですが、個人の努力プラスアルファの要素が必要だとも感じています。
ともあれ、「幸せに生きたい」とねがうわたしたちの、障害を取り除くための知的な貢献をしたいと考えて実践してきますので、ともに「歩く仲間」の常時募集をしております。
ではでは^^?
柴田 英知

 

薮谷あや子文庫【地域開発と財政学】

修論を書き上げた後に、人間環境大学の薮谷あや子先生にご挨拶に伺った際に、譲っていただいた本のリストです。思えば、大学院に進学にあたっていろいろ相談にのっていただいたばかりでなく、進学してからもちょくちょくお伺いしては、アドバイスをいただいておりました。

研究室を片付けるとのことで、特にわたしの今後の研究に役立つだろうということでセレクトしていただいたものです。ほとんどがわたしの知らなかった本で、さすがに深みが違うと実感しました。ほとんどが高価なハードカバーの学術書です。大切に使わせていただきます。ありがとうございました。

<和書>

〇池上惇、二宮厚美編 『人間発達と公共性の経済学』 桜井書店 2005

〇上野千鶴子 『国境お構いなし』 朝日出版社 2003

〇宇沢弘文、高木郁朗編 『市場・公共・人間 社会的共通資本の政治経済学』 第一書林 1992

〇大熊孝責任編集 『川を制した近代技術』 叢書近代日本の技術と社会4 平凡社 1994

〇大崎正治 『水と人間の共生-その思想と生活空間-』 人間選書80 農山漁村文化協会 1986

〇大沢真理・森田朗・大西隆・植田和弘・神野直彦・苅谷剛彦編 『ユニバーサル・サービスのデザイン 福祉と共生の公共空間』 新しい自治体の設計6 有斐閣 2004

〇大島美津子 『明治国家と地域社会』 岩波書店 1994

〇大塚久雄 『共同体の基礎理論』 岩波書店 1955

〇小田中直樹 『歴史学のアポリア ヨーロッパ近代社会史再読』 山川出版社 2002

〇小野塚知二、沼尻晃伸編著 『大塚久雄『共同体の基礎理論』を読み直す』 日本経済評論社 2007

〇金澤史男編著 『現代の公共事業 国際経験と日本』 日本経済評論社 2002

〇川島武宜 『川島武宜著作集 第八巻 慣習法上の権利1 入会権』 岩波書店 1983

〇北原淳 『共同体の思想 村落開発理論の比較社会学』 世界思想社 1996

〇喜多村俊夫 『日本灌漑水利慣行の史的研究 総論篇』 岩波書店 1950

〇慶野征●セイジ 『農業水利投資の費用と便益-猪苗代湖の事例分析―』 大明堂 1977

〇小森治夫 『日本型地域開発 水と土地の分化と統合の視点から』 文理閣 1997

〇コミュニティ政策学会編 『コミュニティ政策6』 東信堂 2008

〇齋藤純一 『公共性』 思考のフロンティア 岩波書店 2000

〇齋藤純一編著 『福祉国家/社会的連帯の理由』 講座・福祉国家のゆくえ5 ミネルヴァ書房 2004

〇絓秀美、花咲政之輔編 『ネオリベ化する公共圏-壊滅する大学・市民社会からの自律』 明石書店 2006

〇神野直彦/澤井安勇編著 『ソーシャルガバナンス 新しい分権・市民社会の構図』 東洋経済新報社 2004

〇谷本寛治編著 『ソーシャル・エンタープライズ 社会的企業の台頭』 中央経済社 2006

〇田中夏子 『イタリア社会的経済の地域展開』 日本経済評論社 2004

〇玉城哲・旗手勲 『風土 大地と人間の歴史』 平凡社選書30 平凡社 1974

〇中川雄一郎・柳沢敏勝・内山哲朗編著 『非営利・協同システムの展開』 日本経済評論社 2008

〇中田実編著 『世界の住民組織-アジアと欧米の国際比較』 自治体研究社 2000

〇中野敏男 『大塚久雄と丸山眞男 動員、主体、戦争責任』 青土社 2001

〇中村哲 『近代世界史像の再構成-東アジアの視点から-』 青木書店 1991

〇成瀬治 『近代市民社会の成立-社会思想史的考察-』 東京大学出版会 1984

〇西川潤 『人間のための経済学-開発と貧困を考える-』 岩波書店 2000

〇八甫谷邦明 『まちのマネジメントの現場から-自己変革するまちづくり組織』 学芸出版社 2003

〇広正義編著 『矢作川流域の文化』 名古屋女子大学生活科学研究所 1966

〇古島敏雄 『大地に刻まれた歴史』 岩波新書青版657 岩波書店 1957

〇森田朗・大西隆・植田和弘・神野直彦・苅谷剛彦・大沢真理編 『分権と自治のデザイン ガバナンスの公共空間』 新しい自治体の設計1 有斐閣 2003

〇山口二郎、山崎幹根、遠藤乾編 『グローバル化時代の地方ガバナンス』 岩波書店 2003

〇山口定、佐藤春吉、中島茂樹、小関素明編 『新しい公共性 そのフロンティア』 立命館大学人文科学研究所研究叢書第16輯 有斐閣 2003

〇山崎怜、多田憲一郎編 『新しい公共性と地域の再生-持続可能な分権型社会への道-』 昭和堂 2006

〇山本哲編 『ローカル・ガバメントとローカル・ガバナンス』 法政大学出版局 2008

〇渡邉洋三 『農業水利権の研究[増補版]』 東京大学出版会 1954

<翻訳書>

〇ウイリアム・イースタリー 小浜裕久、織井啓介、冨田陽子訳 『エコノミスト南の貧困と闘う』 東洋経済新報社 2003

〇P.コトラー、D.H.ハイダー、I.レイン/井関利明監訳 前田正子、千野博、井関利幸 『地域のマーケティング』 東洋経済新報社 1996

〇レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース/小林弘人監修、関美和訳 『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』 日本放送出版協会 2010

〇ジェフリー・サックス 鈴木主税、野中邦子訳 『貧困の終焉 2025までに世界を変える』 早川書房 2006

〇レスター・C・サロー 三上義一訳 『知識資本主義』 ダイヤモンド社 2004

〇楊牧 上田哲二訳 『奇萊前書-ある台湾詩人の回想』 思潮社 2007

研究者として生きるか、もしくは実務者の立場をつらぬくか?

みなさん、こんにちは。

 

こちらのブログも、すっかりアップが滞っていましたが、今年(といっても年末の12月ですが)から、改めてリニューアルして、再開することにしました。

 

 

思えば、この3年間、修士論文に取り組んできたわけですが…。

 

 

 

はい。残念ながら、通常の2年を1年延期の3年ではなくて、早くても3年半あるいは4年間修士課程をやることが、ほぼほぼ確定してしまいました。

 

 

 

まあ、愚痴になってしまうのでやめますが、やっぱり研究は難しいですわ。社会人院生なので、最初から長期履修制度を利用して、4年間までは、2年の学費で学校に通うことができるので、学費の面での追加支払いはないのですが、10月末の段階で、9割方、論文を追い込んでいたので、受け付けてもらえないことわかったときのショックは大きかったです。

 

 

 

本当の修士論文の提出は、1月上旬なのですが、われわれの研究ユニットは、2か月前なんですよね。その締め切りに間に合わなかったというなんとも情けない話で、勝手に私が未完成稿でもいいと思い込んでいたのですが、完成稿をだすという、最初からの指示を無視した形になってしまい、今にして思えば、なにを自分が勘違いしていたのだろうと、自分の馬鹿さ加減にあきれて、なんともまあ、といった次第であります。

 

 

 

結局、提出期限の時点で、一番、重要な論文の肝の部分が完成していなかったのは事実で、そこなしては、論文が成立しないので、とにかく今は、肝の部分を中心に煮詰めて?いるところです。

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

さて、こちらのブログの件ですが、最初は、サブタイトルに、「…学習編」としていたのを、途中で、「…研究編」に変えました。

 

最低でもあと半年は、院生生活が続くわけですが、再度、今の時点で、サブタイトルを変更しようと思います。

 

 

 

何がいいかと思ったのですが、「…共有編」としてみたらいかがでしょう。

 

 

今回の、論文未完成事件(事件かよ)での教訓は、思い込みは恐ろしいということと、「ストイックな(自分磨き?の)研究」もいいけど、そもそも自分の原点は、別のところにあると思いなおしました。

 

 

 

つまり、1991年の大学生時代に決めたことは、「学問のための学問はしない」、「知は力なり、ただし、それは開かれたものでなければならない」ということで、学者コミュニティに入るための通行手形としての、修士論文や博士論文は、それはそれとしてやらなければならないとしても、別に学問の世界で覇を競う(ほどの実力も時間もない)つもりは全くないので、アカデミックなしばやんがあってもいいけど、普段着のしばやんとしては、そこから離れたところで生きていこうと思います。

 

 

 

ということで、タイトルについての、今の時点でのわたしの答えは、研究者オンリーの道は、たぶんないだろうし、自分もそれは積極的には望まない。

 

 

実務者といっても、いまさら、開発コンサルタントの一線に戻る気はないし、10年も経てば、最先端は、はるかな先にいってしまっている。だから、「つらぬく」ほどの立場もすでにないわけですが、実務の世界も知っていて、なおかつアカデミックにも、冷やかし半分以上に足を突っ込んでいるという、ポジションを最大限に生かして、これからは、後進の育成に力をいれたいと思います。

 

 

 

ということで、この12月から、名古屋を拠点に、中部圏の大学生や高校生に対して、国際協力をプロとしてやっていきたい人たち、もちろん社会人でもシニアでも、たんなる(といっては失礼ですが)ボランティアとはちがったプロフェッショナルな世界をみせて、実際に、自己実現をそのステージではたしてほしい、そんなセコンド、あるいはアシスタントをしてみたいと思うようになりました。

 

 

 

なので、このサイトも、学問にもビジネスについても、より深くコミットした内容にしていきたいと思います。

 

 

要は実務者として、使える知識や経験を、そのままアウトポットしていきますので、(学)からは少し離れるかもしれません。

 

 

 

しかし、わたしの開発民俗学研究の守備範囲には入っているわけなので、看板と大きく異なることはないと思います。

 

 

 

以上、近況報告と、今後の展開について、書いてみました。

 

 

引き続きのご指導ご鞭撻を、よろしくお願いいたします。

 

 

 

柴田 英知

 

 

2018年12月7日 名古屋栄の新オフィスにて

ESD、開発教育、ホーリスティック教育

凡例: ●所有、○みたことがある、☆未見 ※2018年5月20日 現在

〇吉田敦彦 『世界のホリスティック教育 もうひとつの自足可能な未来へ』 日本評論社 2009年8月 【371.5 Yo】 NCU山の畑

●佐藤学、木曽功、多田孝志、諏訪哲郎編著 『持続可能性の教育―新たなビジョンへ―』 教育出版 2015年7月 【371.5 Sa】 NCU山の畑 (20180519)

●ネル・ノディングズ/山崎洋子、菱刈章夫監訳 『幸せのための教育』 知泉書館 2008年4月 (20180519)

日本の哲学・思想史

凡例: ●所有、○みたことがある、☆未見 ※2018年5月11日 現在

〇清水正之 『日本思想全史』 ちくま新書 1099 筑摩書房 2014年11月 【121.02 Sh】 NCU山の畑

佐藤寛先生の「開発と社会学」(第VIII期)の募集要項(転載)

以下転送============================

下記の要領で「ゼミナール・開発と社会学」(第Ⅷ期)の参加者を募集します。

ご関心のある方はご応募下さい。ただし本ゼミナールは全12回完結のコースであり原則として全回出席が条件です。数回だけの参加は固くお断りします。

【ゼミナールの名称】「開発と社会学」(第8期)

【主宰者】佐藤寛(アジア経済研究所 開発社会学)

【ゼミナールの目的】他者および自分自身の「よりよい生活」を目指して繰り広げられる『開発/開発援助』という社会現象を、社会学的な視点を活用しながら多角的に考える。

【開催日程】平成30年4月~12月の土曜日、全12回

(基本的に三週間に一回。8月は夏休み)。※各回2時から6時半まで

第1回 4月7日(土)人類は発展してきたのか

●アンガス・ディートン 『大脱出‐健康、お金、格差の起源』 みすず書房 2014 (20180330)

〇Charles Kenny 『Getting Better: Why Global Development Is Succeeding and How We Can Improve the World Even More』 (New York: Basic Books, 2011)

第2回 4月28日(土)発展と国家の役割

●ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン 鬼澤忍訳 『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の期限(上、下)』 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 早川書房 2016 (20180330)

〇Andy Sumner 『Where do the poor live?』(World Development 40(5) (2012): 865-77)

第3回 5月19日(土)支援の倫理

第4回 6月9日(土)大衆の役割

第5回 7月7日(土)援助は役立つのか

第6回 7月28日(土)援助のポリティクス

第7回 9月8日(土)世界構造と援助

第8回 9月29日(土)はしご外しの議論

第9回 10月20日(土) 貿易と資金

第10回 11月10日(土)移民と暴力

第11回 12月1日(土)気候変動

第12回 12月22日(土)不平等

【開催場所】東大本郷キャンパスあるいはJICA東京(幡ヶ谷)を利用する予定です

【募集定員】25名程度

【応募資格】

a)上記日程のうち最低9回以上出席出来ること。

b)以下のどれかに当てはまること

①開発問題に社会学的な視点から取り組みたいと考えている人

②援助実務を経験し、開発問題に社会学的な視点を取り入れる必要性を感じている人

③開発問題、開発援助問題を社会学的な研究対象にしたいと考えている人

【ゼミナールの運営方法】

各回のテーマに応じて課題図書を指定します。これを参加者が事前に読み、各自がテーマについて考察してきた結果を報告し、全員で議論する演習形式を取ります。課題図書のレジメは輪番制で全員が担当します。全員が課題図書を読んでくることが前提です。単に話を聞きに来るだけのセミナーではありませんので、強い熱意のある方だけを募集します。なお、課題図書は各自調達が原則ですが、入手しにくいものについては適宜PDFでの共有をする場合もあります。

【応募方法】

参加希望者は①氏名、②所属、③年齢、④連絡先(住所あるいはファックス番号)、⑤メールアドレス,⑥志望動機(50字程度)、⑦関心のあるテーマ、を明記の上、電子メールにて(satokan999@gmail.com)までお申し込みください。

【応募締め切り】 2018年3月24日(金)午後5時(必着)とします。

【問い合わせ】ご質問等ありましたら satokan999@gmail.comまでお問い合わせください。ただし、参加回数(9回以上)の制限についてはご相談できません。

 なお、本ゼミナールはアジア経済研究所の業務とは無関係ですので、アジア経済研究所へのお問い合わせはご遠慮下さい。

【参加合否】応募者多数の場合は、志望動機等を勘案の上参加者を決定します。合否については、3月26日までに電子メールで応募者に通知します。

【参加費】 2000円(会場費・資料コピー代等に使います。第一回開催時に徴収します)
【課題図書】

今期はDavid Hulme 著『貧しい人を助ける理由』(日本評論社)のFurther Readings(もう少し勉強したい人のための読書ガイド)から選書します。12回で全26冊(和書10冊、英語16冊)ですので、毎回二冊ずつを読むことにします(三冊の時もあります)。

以上

情念は時空を超えて! 開発民俗学講義 『クロスロード・オブ・ハッピネス』…地域研究者が地域開発に出会うとき

これは、わたしのフェイスブックページの「クロスロード・オブ・ハッピネス」の中で募集してわたしがおこなったセミナーの紹介文です。古い記事ですが、参考までに転載します。

[初出 2013年4月4日]

アラブ・イスラーム旅行記・地理書研究者でアラビストであるしばやんこと私・柴田英知は21年前、研究者への道を断念し、何を血迷ったのか開発援助の世界に飛び込みました。

大学でアラビア語とイスラーム(宗教を基盤とした文化・文明)を学んだ私は、大学3年生のとき、文部科学省の科研費で行われた『イスラームの都市性」という東京大学の板垣雄三先生が中心になって3年間にわたって行われた総勢300名を越す日本中のあらゆる分野のアラブ・イスラーム研究者を総動員しておこなわれた文部省初の総合地域研究の中締めに全国の大学院生・大学生を対象におこなった「イスラームの都市性セミナー」に参加する機会を得ました。

東京大学の東洋文化研究所で5日間にわたって日本の第一線の中堅・若手研究者の連続講義を朝からみっちり聞いて、毎日夜は宴会で一体、何コマの授業を受けたことでしょうか。1990年代初頭の状況で、日本で考えれれるたぶん最高の「地域研究プロジェクト」の最先端の研究者と昼夜を共に過ごした研究は、何にもまして私の研究生活を考える上で最高の経験でした。

そう、大学3年生のときに私に「地域研究者」としての自覚とその面白さ、興味関心が芽生えたのです。

このときはそれほど意識していなかったのですが、ものすごい情報量であったことは間違いないですね。なにしろ、第一線の若手や中堅どころの先生方が、さらに若い大学生や大学院生を相手に朝から晩までかんかんがくがくやるのですから^^?

ともあれ、そのときはピンとこなかったのですが、その約半年後に東京で公開シンポジウムが開かれました。「第5回「大学と科学」公開シンポジウム 都市文明イスラームの世界-シルクロードから民族紛争までー」 平成3年(1991年)2月11日(月)~12日(火)」ということで論文集がまとめられていますが、演者が総勢21名、日本のイスラーム研究の英知が結集していたんですね。今、それをパラパラと読み返してみると。

ともあれ、地域研究論に入ると話題が尽きないので、その当時の私自身の覚書を紹介しましょう。

実は、イスラーム関係だけではなく、他に大きな知的?な出会いが大学時代にありました。それは、大阪外国語大学の若手の先生方が企画してくださった地球環境論という毎回違う講師をよぶリレー式講義でした。これまた、すばらしい先生というか先達(大学の先生ばかりではなくNGO関係者やジャーナリストなどさまざまな大人?の方が話をしにきてくださったからです)

なにかぜんぜん話が進まないのですが^^? 今、思うといろいろな意味で最高の学生生活を送ることができたことに改めて気がついた次第。感謝あるのみです!

そんな奔放な大学時代を過ごしたしばやんは、何を血迷ったのか大学院への道を急遽めざすことにします。

そのときから開発コンサルタント会社に就職するまでの話は実は、別のところにかなり詳しく書いているのでここでは省きたいと思います。

ちらみ?してみたい人はこちらをご参照!


まあ、いくつかの挫折?を経て、いまがあるというわけでして!

大学卒業後、ほぼ7~8年ぶりに仕事とは全く関係ない(こともないですが)内省的な文章を書くという二足のわらじを履き出したのですが、それがすなわち歩く仲間プロジェクトの始まりでした。

そんなかんなで仕事を通じて世界と接する中で、いろいろ思い迷うことがあり、30歳代は、他流試合と称してさまざまな開発援助業界団体を訪問しました。

特に日本の伝統ある開発NGOの多くのセミナーや事務所に直接出向き、素性を隠したわけではありませんが、開発コンサルタント(会社の社員)であるというだけで、胡散臭い目で見られつつも、いわゆるべ平連以来のノン・ガバメント(反政府?)の闘士?である古参の創始者の人たちやNGOスタッフの人たちに教えをこうて回りました。まあ、別に誰に頼まれたわけでもないのによくやったと思いますね。

そうそう、それがきっかけで「歩く仲間」の名刺を作る羽目になったのです。

しばやんの武者修行の一部はこちらでご覧いただけます。


さて、1992年9月から開発コンサルタント会社に籍をおいたのですが、とにかく7~8年は忙しくて忙しくて、東京と海外を行ったりきたりしていました。ただ、当時はちょうど、1980年代終わりのODA批判の嵐が吹き荒れた直後で、いろいろ日本の援助業界も大きく変わりつつある激動の時代でした。いわゆる施設ものの‘経済インフラ整備’のハード重視から’人間開発’や‘持続的開発’が合言葉となったいわゆるソフト重視に急激に舵をきった時期でした。

日本の援助機関(国際協力事業団や海外経済協力基金など)は、世論に押されて政治家にもちょっかいを出され、そうそう聖域なき改革が援助業界を直撃したのです。

とにかく1990年代の日本の援助業界は大きな変革の渦に巻き込まれ、われわれ開発コンサルタントも新たなチャレンジを余儀なくされました。日本の60年の政府開発援助の歴史の中でも1990年代の10年は、特に激しい変革のときであったと思います。

まあ、その一番おもしろい?時期を援助業界の内部から世界を見ていたのですが、ひとつの限界を感じたのも20世紀の尾張から21世紀のはじめのことでした。

まあ、そのもやもやが私に「開発民俗学」というものを考えさせるきっかけになったのですが、何に疑問や限界を考えたのかは、おいおい今回の連続講義の中で明らかにしていきます。

さて、私の歩みをみていただくとわかりますが、私が開発コンサルタント(社員)時代からずっと探求してきたことは、地域開発そのものです。

若手会というインフォーマルな飲み会を企画して同年代のコンサルタントやクライアント、大学生・大学院生、NGOスタッフと語らい夢?を語ってきたことは、よりよい仕事をするためにはどうするかということだけでした。みなさん、いろいろな立場で開発途上国の開発の問題に向き合っていました。

私があえて開発コンサルタント以外の市民?であるNGOや官(役所の人たち)、学(大学の研究者、大学院生、大学生)とわざわざネットワークを広げようとしたのか、それは、自分が旗を振れるような年齢になったときに、最強のチームを作るためです。

なにか、こう言ってしまうと元も子もないのですが、今でも歩く仲間として袖を触れ合った人たちは、いつかどこかで一緒になにか仕事をすることができる潜在的なパートナーという意味で考えています。

いろいろと語るべきことは多いのですが、「地域研究」と「地域開発」については、日本でも非常にユニークで、たぶん当代最高の教育を受けた一人として、しばやんがあることは間違いないと思います。

確かにたいしたことをいっているわけではありませんが、自分が実際に歩いて感じて人と語らっていわば自分の血肉となった知識や経験から問題を立てて解答(らしきもの)を歩きながら考えている私がここにいます。

とにかく自分がいろいろな先達から教えていただいたことや自分が考えてきたことを人にバトンタッチしていきたい。特にそれが若者であればいうことなしです。たぶん、私のほうが先に逝くものだからです。

ともかく今、なんとかしないと世界はやばいと私は考えています。自分が立っているところを見つめなおして、次の一手をうたないと、取り返しがつかないことになる前に。

かなり独りよがりな話になるであろうとは思いますが、まあお時間がありましたらしばやんの顔でも見に来てやってください。私は、それだけでうれしいです。

セミナー会場でお会いしましょう。

ではでは^^?

社会的共通資本…宇沢弘文、宮本憲一など

凡例: ●所有、○みたことがある、☆未見 ※2018年5月12日 現在

〇宇沢弘文 『「成田」とは何か―戦後日本の悲劇―』 岩波新書 新赤版216 1992 【387.9 ウ】 幸田

●宇沢弘文 『社会的共通資本』 岩波新書 新赤版696 2000 (20180330)

〇宇沢弘文・大熊孝編 『社会的共通資本としての川』 東京大学出版会 2010年 【517.5 シ】 幸田

〇宇沢弘文 『宇沢弘文の経済学 社会的共通資本の論理』 日本経済新聞出版社 2015 【343.7 ウ】 幸田

●大塚信一 『宇沢弘文のメッセージ』 集英社新書0801A 集英社 2015 (20180330)

●宮本憲一 『社会資本論「改訂版」』 有斐閣ブックス 有斐閣 1976 (初版は1967) (20170515)

エスノメソドロジー(語り、ナラティブアプローチを含む)

みなさん、こんにちは。


あえて「エスノメソドロジー」という分類を作らなくてもという気もしますが、あえて一つの分類として関係書籍リストを作成します。

正直もうしましてフィールドワーカーのしばやんとしては、これらの考え方や実践については自明のことといいますが、かなり近いところにいたと思っています。

これまでに作成済みの「関連書籍リスト」の中に、かなりの関連書籍がはいっていると思いますが、やはり「あえて」つくっておきます。

なぜ、わたしが「あえて」「あえて」というかの理由を一言でいえば、実践の現場からも問題をたてようとすればおのずと、このような方法論を取らざるを得ないからだといえましょう。

とはいえ、これは直感でしかないので、この看板を掲げた本を数冊読んでから、あらためて別の記事にしたいと思っております。

凡例: ●所有、○みたことがある、☆未見 2018年5月12日 現在

●桜井厚 『ライフストーリー論』 弘文堂 2012 (20170909)

●野口裕二 『物語としてのケア―ナラティブ・アプローチの世界へ』 医学書院 2002 (20170909)

〇前田泰樹・水川喜文・岡田光弘編 『エスノメソドロジー 人びとの実践から学ぶ』 ワードマップ 新曜社 2007年8月 【361 エ】 りぶら

〇宮内洋 『体験と経験のフィールドワーク』 北大路書房 2005年9月 【361.9 タ】 りぶら

〇矢守克也・渥美公秀編著、近藤誠司・宮本匠著 『ワードマップ 防災・減災の人間科学 いのちを支える、現場に寄り添う』 新曜社 2011年1月 【369.3 Ya】 NCU山の畑

野田直人さんPRRIEアプローチについて

みなさん、こんにちは。


わたしの専門は、「地域開発と参加」というところに絞って、これから研究をすすめていこうと思っておりますが、非常に熱心で活発に研究会活動をされている開発コンサルタントの先輩の野田直人さんのコミュニティ開発モデルをご紹介します。

■PRRIE(機会均等の研修実施によるコミュニティ開発)アプローチのホームページ

まずは、ご本人のホームページはこちらから!


こちらのホームページで、PRRIEの概要ですとか、研究会の案内がございますので、詳しくは直接読んでアクセスしてみてください。

同じHP内に参考資料、関連の報告書や論文紹介のページもあります。


なお、研究会のメーリングリストへの参加申し込みもできるようです。ちなみにわたしも参加させていただいております。

■しばやんの今の時点でのスタンス

野田直人さんは、Developing Worldという開発援助の関係者のメーリングリストの開設者として1990年代から名高く、わたしもそのメーリングリストへの参加をきっかけにお名前と実践を知ることになりました。その後、国際開発学会での発表のときの座長を務めていらっしゃったかと思います。

実は、ちょうどわたしの一回り上の開発援助業界の大先輩にあたり、アジア経済研究所の佐藤寛先生と、国際開発センターの田中清文さんの三名、そしてその仲間のみなさんたちを、いわば羨望を込めて、わたしは、三羽烏とよんでいました(本人の前ではいっていませんが)。

つまり、1990年代から、開発援助の業界の理論と実務者をつなぐ要の勉強会(開発援助と人類学とか先にふれたDeveloping Worldのメーリングリスト、国際協力マガジンというメルマガ)など、学界や公的な制度とは関係なく、全くの有志で勉強会や交流のプラットホームを作ってきていただいた偉大な先達として以前より尊敬をしてきた方々です。直接、研究会に参加させていただいたり、メーリングリストやメルマガの情報を活用させていただくなど、直接に恩恵を被った世代だと自分たちを認識しております。

実は、ちょうど三方とも還暦ということで、酉年、戌年で60歳になられるとのこと、いつみても若々しい、ちょっと上の先輩と思っていた方々が、もうそんなお年なのかと、最近、その事実を知って驚いているわたしでした。

さて、こちらのアプローチは、自分自身、2年前に愛知県の一宮の野田さんのオフィスである(有)人の森で、たしか「コミュニティ開発」の1日コースの研修を受けたこともあり、大いに関心があります。

ただ、私が今、愛知用水の研究ですすめようとしている国営の大規模な開発事業との異同については、慎重な比較が必要だと思いますので、ここでは軽々しくいえませんが、せっかくの日本の開発援助の推進手法として、大いに学びたいですし、その理論と実践に私の立場からもなんからのフィードバックができればよいと考えています。

中身に関心を持たれた方はぜひ、直接、研究会のメーリングリストに参加してください。

ではでは^^?

「生涯一学究」 吉川英治と空手バカ一代(大山倍達)

みなさん、こんにちは。

久方ぶりにこのブログをアップします。

2016年4月より、名古屋市立大学大学院人間文化研究科で、社会人大学院生をしているわけですが、みごと!修士2年目で足踏みをすることになりました^^?

本来、この3月に修了予定でしたが、昨年の11月の地域づくりに関する研究のユニット発表までに修士論文をまとめることができず、したがって、今年の1月11日の大学院提出もできず、昨年12月から本当にこれからどうしようかと身の振り方を思いあぐねておりました。

昨年8月半ばに期間雇用社員として郵便局で夜勤をしたいたのを辞めて、残り2か月修士論文に専念する予定だったのに、結局、最後まで修士論文で解くべき「リサーチクエスチョン(研究課題)」を絞り込むことができずに、自滅といいますか。まったく悶々と2ヶ月をダラダラと何をするわけでもなく、むろん修論には全く手をふれることなく時の流れに流されていましたが、11月で提出が無理だと決まってから、では、残り半年あるいは一年どうしようと、またまた悩んでいましたが…。

年明けになって、実は、この2,3週間ですが、ようやく次のステップがみえてきました。

正直にいいます。「研究者、あるいは研究をするということをなめていましたm( )m」

いろいろ先生や仲間のアドバイスもあり、結局、修士論文では解ききれない問題を詰め込んでいたこと、勝手に、自分でハードルを上げ過ぎていたことが、ようやくわかりました(それまで何度となく外部から指摘されていたことですが)。

それともう一つの契機は、先生に勧められてとにかく私が一番の典拠として研究で使いたかった一次資料そのものの整理を始めて、形にしだしたら、ようやく頭も働きだしました。いくら頭の中でぐるぐると考えていても、手を動かさないと全然、見えるかたちにならない、全然作業が進まないということにも、今回、気がつくことができました。

11月半ばから始めた資料の整理(論文化)により、ようやく次のステップがみえてきました。つまり、この整理だけで論文一本になるということ。そして自分が愛知用水の課題として取り上げようとしていたトピックたちは、それぞれを一本の論文として切り分けて個別に問題を解いていった方がよいこと。その論文を積み重ねることによって、博士論文になるではないか。

この1カ月弱で、結局、博士論文の全体構成がみえてしまったのです。

ということで、修論は小さくまとめて、修論で扱えない問題は、別の論文に回します。つまり博士(後期)過程への進学を決意しました。

おりしもといいますか、ちょっと学内の指導体制も4月から変わることになったのですが、自分としてはベストな環境で次の一年を迎えることができそうな予感がしています。

ちょっとこれだけで長くなってしまったので、タイトルについては、一言だけふれておきましょう。

「生涯一学究」、これは、この数年間たぶん5年くらいずっと考えていたことですが、文章で公言するのは初めてです。

そして、その元になるのが、吉川英治の「生涯一書生」、「吾以外皆師」という言葉で、それを教えてくれたのが、空手バカ一代(といっても若い人は知りませんよね)と梶原一騎の劇画のモデルである極真会空手の総帥大山倍達(マス・オーヤマ)です。

この大山倍達 『空手バカ一代 私の空手道人生 輝く日本の星となれ!』 講談社 1973 というこれまた熱いタイトルの著書には、ほかにもいろいろいいことが書いてありまして、それを紹介したいと思ったのですが、稿を改めます。

ではでは^^?

«地域づくりと風のひと 平成29年度 中期 りぶら講座 No.21