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2007年2月25日 (日)

うるさくない音とは? (しばやん語りき その4)

さて、その2で触れた‘ボリュームを上げてもうるさくない機器。(アンプでもスピーカーでも!?)’とは、どういうことをいうのでしょうか。 

1.オーディオ(ステレオ機器)の試聴の仕方について(その2)

前回(その2)、お店にいって、スピーカー、CDP、アンプの順に機器をみていくという話をしましたが、具体的に、どんなソフトをもって、何に注意して聴くのかについて説明します。

よく自分の好きな(よく聴きなれた)CDなりをお店に持参しましょうというアドバイスがありますが、基本的にはそれは正しいですが、ちょっと異論もあります。というのは、音楽は経験が深まるほど幅がでてくるもので、好きなものが嫌いになることはないにせよ、その幅がでてくるというのが曲者なのです。つまり経験を積んで今の自分の耳が進化?することによりより幅広いジャンルの曲を聴くようになる。⇒そうすると今のレベルで好きな曲だけ聴いてよいと思っても、後で他のジャンルの曲を聴くときに不満がでてくる・・・ことも多いということもあるからです。⇒⇒ 経験者は語るってやつですか^^?

さて、私の場合は、同じ機器の組み合わせに対して最低でも3つのジャンルのソフトを試聴させてもらうようにしています。

1.ピアノの曲(ピアノ+ボーカルも可)

2.生楽器のアンサンブル(クラシックやジャズのカルテット、日本の古めのフォークソング、J-POPや、古めのロックでも可)

3.女性ヴォーカル(別に男性ヴォーカルでもよいが)がメインの歌謡曲、ポップス(J-POP、ロックでもよい)

まあ、くどいようですが、何を聴かんとするのかちょっと解説してみましょう。

1.ピアノの曲(ピアノ+ヴォーカルも可)

特に音のたちあがりや自然な響きを探るのにピアノソロの曲は最適です。まず、すかーんと高音がでるか、ピアノは音域が広いので、低音から高音までその音のつながりの自然さとか、なにか不自然さがないか、このようなことをチェックします。

そうそう、‘ピアノ’とはピアノ-フォルテの省略で、つまり小さい音から大きな音まででる楽器なので、このレンジの広さにステレオが寄り添えるのか、まだ静寂からいきなりフォルテッシモになったときに、そのアタックやスピード感に追随できるのか、S/N比のよさやスピード感(その逆はもたつき感)をチェックするのにも最適ですね。

あと、安物のシステムコンポや単品コンポで耐えられないのが静寂時、つまり音楽がなっていないときの「ブーン」とか「サー」とかヒスノイズが残るもの。ちょっとまともなコンポなら、この残留ノイズは、ほとんど聞こえません^^!(あっても限りなく0に近いです。間違いなく。)

音のでている時だけではなく、音の出ていないときの‘音’を聴く。これがポイントです。

2.生楽器のアンサンブル(クラシックやジャズのカルテット、日本の古めのフォークソング、J-POPや、古めのロックでも可)

よく試聴でお店が薦めてくれるのが、このジャンルの曲での試聴です。まあ、ポイントはそれぞれ皆さんが聴き慣れている楽器がいかに自然に表現されるのか、その楽器間のバランス、アンサンブルとしてのまとまりを聴くということでしょう。楽器は、ギターでも、チェロでもサックスでもなんでも自分の好きな楽器が生き生きと鳴ることをまず確認しましょう。

私の場合、クラシックのチェロは一番好きな楽器でよく室内楽のコンサート、しかも三重奏(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ)を目の前で聴くサロンコンサートにも何度か行ったことがあるので、この弦のなまめかしさも少しは経験?していますし、クラシックギターもちょっと習っていたので弦楽器系の音にはちょっとうるさいです。

あとジャスでしたら、やはり管楽器がスコーンと抜けるようにでてくるというのは、音楽の醍醐味というか楽しみですよね。

好きな楽器が気持よく聴こえる、これはそのステレオセットがセットとして音的とか音響的に平均60とか70点をとることより、もっと重要なことです。あるレベル以上のコンポは大体どんな生楽器でもそれなりにこなしますが、特にビギナー向けの低価格のコンポは、なくても‘癖’があります。逆に低価格のものは‘癖’のないものはないといってもよいでしょう。

つまり、どうしても‘癖’があらばこそ、積極的にその‘癖’を自分の好きな楽器が生き生きとなるほうに活用させていただく。これはこれでリーズナブルな話しだと思います。

例えば、ある曲やジャンルでは、150とか200点、ところが別のジャンルでは50点以下ということもありえます。他人からみれば非常に極端でバランスが悪いように思えるのですが、‘個人の趣味’の話ですから本人が心から満足していればそれも可というかありなわけです。またそれがオーディオの楽しみでもあるともいえます。

あと蛇足ですが、いいステレオでアンサンブルを聴くと、それぞれの楽器のメロディラインが‘くっきり’とたどれます。特にジャスでもロックでも、ベースラインがしっかりとたどれるとそれだけでわくわくします。これは解像度とか分解度もしくはチャンネルセパレーションの問題だといわれるのですが、普及価格帯の機器は、CDPもアンプも、このステレオの肝でもあるチャンネルセパレーションの音楽的な詰めが甘いというより、そもそも難しいのですよね。

特にボリュームを上げていくと、音が分かれるのではなく、逆に団子のような音の塊になってしまいます。ベースラインとか、弦楽器のピチカートの音がステレオから拾えるようになれば、あなたの耳もきっとよくなっているはずです^^?

3.女性ヴォーカル(別に男性ヴォーカルでもよいが)がメインの歌謡曲、ポップス(J-POP、ロックでもよい)

2と3では似たようなことをいおうとしていると思われるかもしれませんが、それは違います。(きっぱり!)

なぜ、ヴォーカル曲を聴くのか?私はやっぱり最大で最高の楽器は人の声だと思うのです。まあただ単に女性ヴォーカルの曲が好きということもあります。女性は男性ボーカルのほうが好きなのかしらん?

閑話休題。 

ところでみなさまもお気づきのとおり、人の声ってごまかせません。つまりこれを正確に再現することは意外というか非常に難しいのです。特に、なまじかコンサートとかで生演奏や生歌唱を聴いたことのある人は、オーディオマジックというか、なんであの声が‘簡単に’再現できないのかと悩みもだえることでしょう。

中高域の再生でもうひとつ原理的に難しいのは、スピーカーの個性がこの音域を支配しがちであるからということもいえます。今、普通に音楽を聴くためにスピーカーを買おうとすると、ブックシェルフ、トールボーイ、フロア型、いろいろ形状はあるにせよ、大体2つのスピーカーユニット、すなわち高音域を受け持つスコーカ-と中低音域を受け持つウゥーハー(もしくはバスともいう)の2ウェイスピーカーというのが標準です。

実は、約20年前の日本のオーディオシーンでは、スコーカー、ウゥーハーにその中間の音域をカバーするようにミッドウーハーを加えた3ウェイブックシェルフスピーカーの全盛時代でした。

それはさておき、2つの異なるサイズで素材や形状も違うスコーカーとウゥーハーを組み合わせてレガート(とぎれなく滑らかに)に音を出すというのは、非常に難しい技術なのです。当然、その音の繋ぎ目があるのですが、それが大体、この女性ヴォーカルや生楽器の一番おいしい音域にかぶさってしまうのです。

2つでも難しいのに3つや4つ以上なんて、と思うのは普通の人の感覚で、スピーカーの音決というか音のチューニングはまさに職人技というか、人間ならではの芸術の世界でもあるのです。スペックとか精密機械で測れる‘音’と‘音楽’が全く別物であることは、このようなことを考えれば、素直に納得いただけるのではないでしょうか^^?

そうそう、「スピーカーは楽器である。」また別の方から「楽器は生き物だ。」という言葉を伺ったことがあります。

つまり、‘スピーカー=楽器=生き物’であるというこの関係性、わかりますでしょうか^^?

わたしもまだ、その‘心’がつかみきれていないと思いますが、なんとなくその‘気持ち’はわかるようになってきたと思います。

よく音楽批評で、コンポーネントで何が一番重要(鼎)なのかとか、どの機器にお金をかければよいのかという議論が、いつも必ずでてくるのですが、実はスピーカーの影響が一番大きいと私は感じています。つまり値段は関係なく、自分の好きなヴォーカルや楽器を、生々しく気持よく聴かせてくれる機器が、あくまでも‘あなた’にとってベストな選択なのです。

試聴会での聴き方のポイントから少し話題がずれましたが、まず試聴会では、あなたが心底惚れられるよいスピーカー探しから始めてみたらいかがでしょうか。

よいスピーカーはそれなりに価格が高いかもしれませんし、全体の予算が少ない(十分ではない)のかもしれません。特に、初めての方が、いきなり予算30万とか50万とかの世界にジャンプ(もしかしたら命綱無しのバンジージャンプ^^?)することは非常にいろいろな意味で危険なので、私はやはりとてもお勧めできません。

まあ、本格的に気合いをいれてオーディオをやるということで、とにかく10万円もしくは30万円の予算を確保した。でも気にいったスピーカーが、予算の7割、8割もしてしまう。ではどうしようといったケースを考えてみましょう。

その場合は、1.CDPやアンプの価格を落としてでも(中古を買うという手もあり)とにかく‘本命’(スピーカー)を手に入れる。2.ある程度のバランスを考えて、‘本命’によく似たキャラクターを持つ‘次点’でがまんして、とにかく「音楽=ステレオのある生活」に突入する。少なくとも2つの選択肢があると思います。

当然、他の考え方もありますし、そもそも答はないのですが、私としては、どちらかといえば2のコースをお勧めします。

よいスピーカーほど、よいアンプやCDPを必要とします。それは当然のことながらスピーカーセットより高価である場合が多いです。よいスピーカーは、レベルの低いアンプやCDPにも、それなりに付き合ってくれますが、へぼいアンプやCDPは決してスピーカーのレベルを超えることはできないし、また大概の場合、スピーカーをコントロールしきれないし、間違ってもスピーカーの真価を引き出してくれることは残念ながら非常に少ないと思います。

つまり、バランスが悪すぎると、そのレベルの差にそのうち我慢しきれなくなって、なんらかのレベルアップをせざるを得ない場合が多い。

オーディオは、やはり今でも贅沢な金持ちの道楽的なところはあります。そうそうステレオ機器の買い替えばかりをやっているわけにもいきません。

あとちょっとやってみるとわかるようにオーディオって一生楽しめるような奥の深い趣味なので、自分自身の耳や音楽性が豊かでないと、逆に音楽性豊かな(えてして高級なものが多いが)オーディオ機器は、へぼなリスナーに付き合ってくれません。もっと冷たい言い方をすると、その‘よさ’や‘違い’に気が付かないのです。

別にプロでなくても、一定以上のベテランオーディオファンは、ある一線以上のよい‘音楽’をそれぞれの限られた条件下(部屋の条件、機器の制限など制約条件は結構いろいろあります)で再現されています。この一線(ライン)というのが、また抽象的でわからないという人がいるかもしれませんが、これは結構、簡単に‘実際にそのような方のシステムを聴けば確実に’わかります。(これは、みなさんがすぐ想像されるオーディオ専門店の高級オーディオの試聴室で聴く音楽とは似て異なるものです。たぶん。⇒これ以上は言葉ではいえません。)

最後は、生き方の問題になってしまうかもしれませんが、そこそこのもの(もしかしたら身の丈にあったものという言い方ができるかもしれない)をよく検討して選んで、もう10年とかいうスパンで、次の来るべきグレードアップに備えるというのが、それなりにリーズナブルではないかなと私は思います。

今の機器に至るまでのしばやんのオーディオ遍歴もそんなところでした。(くすん!)

それはまた別の話しとして^^?

次回は、私が試聴で必ずしもつかうわけでもないけど、日常的によく聴くソフト(CD)を紹介します。

ではでは^^?

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コメント

しばやん、この週末は飛ばしてますな。沢山参考になりました。オーディオ買いに行く時は、できれば付いてきてください。3種類のCDは自分が持参しますから。ではまた。

いよいよ、purunさんの本格オーディオの世界に突入ですか^^!
そうですね、喜んでかばん持ちします。
大体、自分で音楽をやる人は、オーディオへのはまり度も激しい人が多いです^^!purunさんも、そちらの系統ではないのかなと、ちょっと?だけ心配^^!

でも、とりあえずマニラで拙宅でオフ会でもやりましょうかね。できれば3月中にお招きできるように手配します。
おっと掃除もしなきゃ^^?

まあ、ぼちぼちいきましょう^^!

さっき↓で投稿した最初の分は読んだら消しといてくださいませ~m(__)m

オーディオ機器の癖(キャラクター)は・・・値段とあんまり関係ないかも?と、私は思うのですが、如何でしようか?
むしろハイエンドの方が凄いことになってると思うのですが。


先日こちらの記事に投稿した分が反映されてませんけれど、もしかして送信トラブルかしら?(滝汗)

ぱすてるさん。書き込みありがとうございます。
実は、‘さっき↓で投稿した分’というのが、届いていないようなのです。お手数をおかけしますが、もう一度、書き込んでいただけるとありがたいのですが。
よろしくお願いします^^!

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