オーラデザイン 『VA-100EV II』
「コクがあるのに、キレがある。」オーディオは、よく食膳やお酒のたとえをもって語られることが多いですが、このアンプは、まさにどこかのウイスキーの宣伝コピーをそのままもってくることができます^^?
『VA-100EV II Integrated Amplifier』
1995年頃 発売
入力: フォノ、CD、チューナー、ライン1、ライン2、テープ
出力: 66W+66W (8Ohms @ 1kHz)
サイズ: 430x310x62mm (WxDxH)
重量: 6.0Kg
Singal/Noise Ration: -100dB(LINE)、-90dB(Phono)
お薦め度: ★★★★☆ (ただし中古でしか手に入りません^^?)
最近、ぱるてるさんのブログのアップが頻繁なのでよく見にいくのですが、クリークの新作CDプレーヤーの使いこなしのところで、オーラに言及されているのに触発されて書いてみました^^?
もうすでに語り尽くされている感もありますが、1980年代の終わりから90年代にかけて海外オーディオのブームがありました。まあそれまでも高級オーディオは依然として海外製品に多かったのですが、たぶん、CDの音処置に関する蓄積が国内外で高まってきたのでしょう、海外メーカーの重鎮からガレージメーカーまでCDを中心とした音作りで一斉に新製品がでてきました。特に、海外メーカーの超高級品でなくて、一般の家庭向けのオーディオが円高、バブルということもあったのでしょう。日本円で10万円から15万円ぐらいの機種が続々日本の市場に紹介されました。
10万ちょっとって、非常に微妙な価格帯で、国内製品では中高級品なのですが、海外メーカーは最低でも50万円とかうん百万円が当たり前というオーダーでしたので、たぶん輸入担当者は、「えっ。こんなに安い一般家庭向けの製品でもいい音するじゃん。」と驚いたのではないのでしょうか。
当時の海外バジェットコンポメーカーの名前を思い出すと、アンプではクリーク、ネイム、オーラ、ミュージックフェデリティー、リンはちょっと高級か、スピーカーでは、ロジャース、スペンドール、ハーベスとか非常な割安感をもって、オーディオ雑誌で紹介されていました。そうそう、B&Mも安くてよい音のDM600シリーズをもって日本市場になぐりこみ?をかけていましたね^^?
ちょっと背伸びして手を伸ばせば届くというか。
さて、初めてオーラのアンプに遇ったのは、確か大学生の頃、大阪の上新電気(ジョーシン)ではなかったかしら。和ダンスの上に、LA3/5モニター(英国放送協会BBCのモニタースピーカーの統一規格。イギリスの3社くらいが同じスペックで市販もしていました。ロジャースとスペンドールとハーベスではなかったかしら)とセットで並べられていたのを思い出します。日本に入ってきたばかりの頃なので、確か機種は、VA-40とかVA-50の頃でしたね。
このとき、本当にすごいと思いましたね。何よりその静寂さです。アンプはそもそも音を出すためのものではあるのですが、音が出ない(無い)ときはどんな音をすればよいか。
つまり音がないときには音を出してはいけないのです。静寂からふっとまるで目の前に突然、音が立ち上がる、このキレのよさと音楽性に富んだまったりとした芳醇な味わい。パステルさんも書いていますが、高音のきらめき感も突出していますが、結構、中低音の情報密度が高いように感じます。
こういうのって結局スペックの問題ではないんですよね^^?
当時、日本のメーカーは、トランジスターのMOS-FETとかの技術革新を経て、アンプの出力競争みたいなものに走ってしまって、音楽をそっちのけで、いよいよ重厚長大、単に機器の図体がでかくなるだけではなく、デカクて高価なのが‘偉い’みたいな変な方向へ突き進んでいったわけですが、わずか6cm(幅はあるけど奥行きも思ったより少ない)の高さで、確かMOSFETをシングル・プッシュプルでいわばミニマルな構成でこのレベルの音をだしてしまったのだから、日本のメーカーはしょうがないし勝負にもなりません。
ますます巨大化する日本メーカーのアンプを尻目に、非常にさりげなく、しかも爽快にオーラが鳴っていたオーディオ店の店頭を今でも思い出します。
大学生当時は、さすがに海外オーディオなんて夢のまた夢でとても自分が手にいれられるとは思っていませんでしたが、社会人になってようやく手に入れることができました。
いろいろオーディオの機器の差し替え(グレードアップ)を図っていた時期のことで、年末のボーナスを当てに、東京は御茶ノ水の「オーディオユニオンお茶の水店」で、名物販売員の屋代さんの紹介で、AURA VA80SEの新品と、たまたま中古で出ていたVA100EV IIを徹底比較試聴。
最初から予算は10万と決めていたので、他のアンプも比較試聴したのですが、結局、オーラ対決。
VA100EV IIの方が上位機種ということもあるのですが、音の透明さ、奥行き感、パワーなどでやっぱりVA100EV IIに決めました。とはいっても、わずかチャンネルあたり66W(8Ohrm)ですよ。でもオーラがこの後、出力パワー競争に巻き込まれてそのシンプルなよさをなくしたという話もありましたね。少なくとも時計の9時くらいのボリューム位置で十分よくなります。あと、VA80SEとの比較で、レコードのフォノ入力がついていたり、スピーカー端子が二組あるというのも魅力でした。
実は、1996年12月にすでに手に入れていたプロアックのタブレット50(スピーカー)は、バイワイヤリング対応だったのです。結局、バイワイヤリングは使っていませんが、このバイワイヤリングの機能をつけたり、入力端子やスピーカー端子を全て金メッキにするなど、この変な?こだわりにクラフトマンシップを感じました。
スピーカーのプロアックとは、同じ‘えげれす’生まれということもありバッチリの相性です。プロアックも当時のBCCモニターのLS3/5を非常に意識していたというか、それを乗り越えるべくして作られたスピーカーなので、 当然、音決めに英国仕様のアンプは聴き倒していたんでしょうね^^?
この記事を書くのに、取り扱い説明書を探してみてみたら、領収書から1998年1月4日に購入していることがわかりました。もう10年も使っていることになります。
ちなみに、機械というものは必ず壊れます。1999年3月、4月に一回、2003年7月に一回、2003年12月に一回。合計3回、あれ思ったより少ない^^?
これが壊れると、英国オーラは当の昔になくなっているし補修部品もないだろうから困ったことになります。でも、それもまた人生というか別れなのでしょう。
たぶん新しい機種に買い換えることになると思いますが、修理のときの輸入代理店のユキムさんの対応は非常によかったし修理費も良心的でした。存分に試聴させていただいて修理にも快くつないでいただいたオーディオユニオンさんにも感謝しています^^?
ぱすてるさん、Aura Noteのレヴューもよろしくお願いいたします。
P.S.
写真はユキムさんのパンフレットから。無断借用ごめんなさい。下の画面をクイックすると文字が読めます。ユキムの担当者の方の熱い思い入れが伝わってくる文章です。
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今更ですがAura Noteのレビューを書きました~。リクエストから丸1年というレスポンスでほんと申し訳ありませんですm(__)m
投稿: pastel_piano | 2009年2月 8日 (日) 01:48
ぱすてるさん
お久しぶりです。先のブログでリクエストしていたAura Noteのレヴュー記事ありがとうございました。↓
http://www.audiostyle.net/archives/51497539.html#comments
次にでるという新製品Aura Note Premier、これもまた気になりますね。
取り急ぎお礼まで^^?
投稿: しばやんです。 | 2009年2月12日 (木) 22:42
しばやんさん。
こちらこそリンクの紹介ありがとうございます。
箱ピュアからもこのページへのリンクを貼りました。
ご確認宜しく御願いしますですd(^_-)
>>ぱすてるさま
リンクありがとうございました^^?
どうしてもこのようなレヴュー記事は主観となってしまいますが、すでに市場にない機種なので、思い出話としてもおもしろいかもしれませんね。
今でも往年のAuraに関心をもっている方が多いらしく、この記事が、それなりに検索エンジンでヒットしているようです。上にも書きましたが、2,3回、MOS‐FETトランジスターが死んでしまっているので、次の修理は難しいと思っています。でももしぱすてるさんのAura Noteの記事にあるようにそのパーツの再生産がおこなわれているとしたら修理が可能かも。
海外コンポはやはりライフサイクルが長い(ほとんどもデルチェンジがない)というのも今思うと本当にありがたいことですね。
実際には、適宜、パーツの改良(差し替え)は常におこなっているという話をどこかで聞いた事がありますが、日本みたいにわざわざMARK IIとかIIIとか大げさに宣伝していないそうです。よくある話でロットによって眼に見える部品が変わっても同じ型番(モデル名)だったりするそうです。
ともあれ、リンクのお礼まで。
ではでは^^?
しばやんでした。
投稿: pastel_piano | 2009年2月15日 (日) 21:34
FETは再生産されたみたいですよ~。Aura noteもですが、
ユキムさんは旧機種の修理に大変誠実に取り組んでおられましたから、日立へFET再生産を依頼することになったんだと思います。(それが旧VA100EVで使えるものかは問い合わせてみないと判りませんけれども・・・)
私がメインで長年使っている英TAG McLarenのプリメインアンプ60iも未だに生産されてます。というか基礎設計はオーラVA-50と同時期のAUDIOLAB 8000Aに遡り、名前が8000Aに戻った現行モデルも部品変更こそあれ回路、基盤、筐体等は殆ど変更されていません。CDプレーヤーも同様。こういうイギリスの保守性は大好きです(笑)
投稿: pastel_piano | 2009年2月16日 (月) 20:50