アービング 『アルハンブラ物語』
先日3月15日から18日に一時帰国した際に実家に保管してもらっている段ボール箱の中から見つけだしました。
1976年 講談社版より Miguel Sanchez, Editor, Granada, Spain
お薦め度: ★★★★☆
一口コメント: 外交官であり歴史家でもある北米の旅人 ワシントン・アービング(Washington Irving)があらわした幻想的な物語。実は、彼はこのアルハンブラ宮殿の中に住んだこともあるそうです。
う~ん、実に懐かしい。axbxcxさんの書き込みで思い出したのですが実は大学卒業後、入社して2年目の1993年にスペインからイタリアにかけてバックパックとトーマスクックの鉄道時刻表だけ抱えて、貧乏旅行をしたことがありました。
スペインのマドリッドに入りピカソのゲルニカをやっとのことで見つけ、グラナダ、セルビアとまわりバルセロナでガウディのサグラダ・ファミリアの塔に登り、鉄道でフランスのニースを抜けてイタリアのビザの斜塔をみてローマのバチカン市国にいくというわずか1週間、移動ばかりの強行軍でした。
ところでこの本、実はグラナダのアルハンブラ宮殿で購入したんです^^?
1993年7月13日 11:30~12:00に入場って書いてあります。
今でこそ、開発コンサルタントですが学生時代はアラビア語を勉強して、東西交渉史というか中世史、シチリアとかをやろうと思っていました。アラブ・イスラーム地理書・旅行記ファンとしては、イスラーム世界の周縁部、アンダルシア地方やシチリア、中央アジアや東南アジアなどは非常に興味深いところであります。
でも思い返すと、前嶋信次先生の後をついで平凡社の東洋文庫で「アラビアン・ナイト」の原典完訳を完成させられた池田修先生に、まさに先生が翻訳している部分のアラビアン・ナイトの原典購読の授業をうけたり(実際は池田先生が素読というか読んで解説してくれるのを聞いていただけ^^?)、イスラーム地理書の日本的な権威である竹田新先生の謦咳にふれられた学生時代は、今、想いかえすと、至福の時でもありました。
さて、サイドリンクに、このときのアルハンブラ宮殿の写真をアップしてあります。‘百聞は一見にしかず’ということを、いやほど感じさせられた若き日の一人旅でした。
ぜひご高覧あれ。
http://homepage1.nifty.com/arukunakama/19930713/index.html
ではでは^^?
P.S. 1
しばやんは日本中東学会の末席におりますが、ここでは池田先生や竹田先生のお弟子さんということになっています。つまり大阪外国語大学のアラビア語科の一門なのです。
アラビア語、特に古典のアラビア語をきちんと勉強したいとおもったら、コーランの原典からの日本語訳(イスラームの立場からは訳といわないのですが)をされた伴先生、上述の池田先生などの学問的な伝統をもつ大阪外大のアラビア語科は、やはり日本で一番だと思います。すでに伴先生も池田先生も退官されていらっしゃいませんが。池田先生も確か1994年頃から学長になって忙しくなってしまったので、私は実際に授業を受けることができた最後の世代です。
しばやんは、若気のいたりでとびだしてしまいましたが、今、思うと本当に自分が中にいたり近くにいすぎたりするとそのもの(先生なり)の偉大さがわからなかったものだと思います。
逆にいえば、離れたからこそわかったこともたくさんありますので、後悔はしておりませんが・・・。
そういえば、2007年10月に大阪大学と統合してしまったので、大阪外大は、現在、大阪大学外国語学部となってしまっております。
P.S. 2
この表紙にありますようにこの本には32枚ものカラー彩色された銅版画の挿絵がはいっています。19世紀の挿絵と細分違いのない現物をリアルにみたということ、非常に驚異を感じました。だって、12世紀の建立時から19世紀、20世紀の末にいたっても、そのものがあり続けているのですから。 まさに世界遺産です。
このようなものをつくった人たちと同時に、これを今まで伝えてきたというか、生き残らせてきた後継者の名もなき人たちの努力?に畏敬の念を感じました。
そこにあるだけで十分、価値がある。 よくぞ今まで残っていてくれたという感じです^^?
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