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2008年3月 8日 (土)

ソニー(SONY) 『CDP-X5000』

ソニーというメーカー(ブランド)は、以前から好きで関心をもってみてきました。パステルさんの記事に触発されて、今回は、トップローディング方式、ソニーの役員をして、「自分が買いたい」といわしめた伝説?のCDPを紹介します^^?

Sony_cdpx5000 SONY コンパクトディスクプレーヤー 『CDP-X5000』 

1995年発売~2001年販売終了

大きさ: 280mm(幅) x 90mm(高さ) x 370mm (奥行)

重さ: 約6kg

オプションで、コーリアン製のCDリッド(蓋)、スタビライザーを2種類(黄銅のクロムメッキとコーリアン(写真の白いやつ))を準備していて、これもまた所有者のマニア心をくすぐります。当然、私も3つのオプションを買い求めました^^?実際、音も違いました。リッドと黄銅製のスタビライザーは、ぜひ購入したいオプションです。かなりグレードがあがります。

また電源コードが交換可能というのも現実的な対応でした。実際に電源コードでずいぶん音が変わりました。

お薦め度: ★★★★☆、

一口コメント: 既に生産中止なので、中古市場でしか手に入りませんが、中古でも非常に人気の製品で結構、高値で取引されています。ただ気をつけなくてはならないのは、基本的に駆動系のあるものの中古はあたりはずれが大きいことと、リストアや修理がむずかしい点でしょうか。

ところで、ソニーというのは非常にユニークなメーカーで、前回のウォークマン・プロフェッショナル(WM-D6C)の記事でも書きましたが、基本的に大量生産のメーカーでありながら、たまにエンジニア(技術者)の趣味というか自己満足?でしかないという、採算度外視のとんでもない製品を作って市販してしまうことがあります。

大量生産で安くてよいものを作るということは、非常に大切なことで、特に家電や車など工業製品についていえば、日本のメーカーがなかったら、世界はこれほど豊かな物質的な幸福を手に入れていないでしょう。

松下電器(今は既にPanasonicというブランドに統一されましたが)には、PHP研究所という組織があります。PHPというのは、「Peace Peace and Happiness through Prosperity(繁栄によって平和と幸福を)の頭文字をとった語で、「物心両面の繁栄により、平和と幸福を実現していく」という松下幸之助の願いのもと」つくられた組織(Wakipedia)だそうで、これがひとつの日本の物質的な繁栄をもたらした哲学のひとつだと思っています。

ちょと脱線しましたが、ある程度、大量生産をしないと‘もの’の価格は安くなりません。欧米のクラフトマンシップのメーカーばかりでしたら、今のオーディオ業界も決してこれほど廉価でそこそこの品質のものを楽しめることは決してなかったと思います。つまり、未だにオーディオは大金持ちの道楽でしかなかったでしょう。

ソニーの話に戻ると、つまりある程度、安くて売れる‘もの’を大量につくることは商売上必要不可欠なわけですが、技術者としては安物だけを作るのは何か物足りない*ということで、本当にまれではありますが、爆発的(突発的に)、廉価で‘とんでもない製品’を作ってしまうということがあります。このCDPは、まさにその一例だと思います。もっというと技術的には、この価格(120,000円)では、この品質のものは決してできません。(ちょっと持ち上げすぎか^^?)

前書きが多くなりましたが、CDP自体の評価をすると、ハッタリのない、非常に端正な音がします。ソニーのCDPの音については、いろいろなレッテルがありますが、このCDPに関しては、まじめに余計な遊びのない情報量が多くて繊細であるのだけども、決して冷え冷えした音ではありません。繰り返しになりますが、端正に正直にありのままにCDを再生しましたという感じです。逆にいえば、音にへたな味付けしておらず、無色というか、ソニーサウンドとしては異色な音がします。

トップローディング光学系固定方式の技術的な信頼性もさることながら、出力端子の多さ(アナログライン、COAXIALデジタル、OPTICALデジタル、BALANCEDデジタルの4系統、しかもデジタル出力に関してはそれぞれにON/OFFスイッチがついています)は、まさにCDトランスポートとしての流用(アップグレード)も想定されています。

これとルミナスをつないでDACのアップグレードをはかったつもりですが、実はこのX5000の1ビットのカレント・パレスDACは、それなりに味があり、ルミナスと併用していました。つまり、このDACの音は、ソースによっては捨てがたい音がします。

Sony_x5000_series なお、左は同時期に発売されたステレオプリメインアンプTA-F5000とSS-AL5スピーカーとのセット、#5000 SERIESと、その廉価版、#3000 SERIESのカタログです。

非常にこんなことをいうのは申し訳ないのですが、CDP-X3000はCDP-X5000のちょうど半額で外見も似ているのですが、音は較べたらダメというか、可変デジタルフィルターをつけたりオマケ機能を充実させているのですが、似てまったく異なるというか、とても比較の対象になりません。ご参考までに^^?

注:*

* ご参考までに、上記のカタログのコピーから引用します。

5000シリーズコンポーネント、設計者が一度はつくりたかったものです。

趣味の道具として、音質、性能はもちろん、質感、品格、フォルム、

長年にわたり信頼のパートナーとなる、さりげなくて美しいたたずまい、

これを実現させるために、何千回もの試聴、操作感覚、スイッチの感覚、

さらには愛着にふさわしい外観仕上げにまで至る追究。

設計者は語りました。これは仕事であると同時に趣味そのものだ。

何より設計した自分のそばに、個人的に最も好きな空間にそっと置きたい、と。」

いい話ですね。ソニーという企業に対するイメージも、これでぐっとよくなりました。そうだよな、みんな資本や企業の論理だけで動いているわけではないんだ。やっぱり‘いいものがつくりたい’という気持ちは古今東西を問わず普遍的なものであると感じさせてくれました。単なる‘モノ’でしかないかも知れませんが、そこにはつくった人の心がこもっている。そういうものがこの世の中にたくさんあると思うと、ずいぶん幸せな気持ちになります。

P.S.

ソニータイマーという都市伝説があります。つまり数年で自動的?に故障するということをやじったものですが、ウォークマンプロやこのCDPに限っては、ほとんど故障しませんでした。私は、1998年4月5日に購入したのですが、2006年11月まで、まったくノートラブルでした。今は、マニラにいるので修理にだしていませんが、次回、帰国した折には日本で修理にだそうと思っています。あと、ソニーの修理も結構良心的でしっかり直してくれます。別にソニーの回し者ではありませんが、やはり大ブランドだけのこともあるし、ある程度のクラスの製品については、ソニーもカスタマーを大切にしてくれている感じがします。

ではでは^^?

P.S.2 

またまたカタログを流用してしまいました。ソニーさん、無断転載、ごめんなさい。

ソニー WM-D6Cの記事はこちらを参照ください。 http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/03/sonywmd6c_300d.html

ルミナスDACの記事はこちらを参照ください。 「トライオード ルミナス(Luminous) 1.0 DAコンバーター」 http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2007/06/luminous_10_da_b97d.html

しばやんのオーディオ評論 「20年たっても現役(とりあえず10年OK) (Audio, hard)」は、こちらへどうぞ^^?

http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2010okaudio_hard/index.html

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コメント

2001年まで販売されていたと云うことは、今中古を手に入れたとしても未だメーカーでの完全整備は十分出来そうですね♪ 当時ソニーのピュアオーディオの開発主任?だったかないまる氏が作った作品と云うことで、デジタルトランスポートのスタビライザーやリッドで音が変わるという、頭の硬い理系陣には受け入れがたい事実をそのまま商品化してしまったところがニクいです。別の機種の開発を担当していたソニーの他のエンジニアが、当時オーディオ雑誌上で、スタビライザー等でデジタルの音質が変わるなどあり得ないと暗に批判されていました。同じソニー内でも意見の対立はあるんだなぁと。

そうですね。上のカタログ写真にも書いてありますが、「デジタル・オーディオは理屈の上ではすべて数値で現わされる世界です。~中略~ 開発の過程ではいくつもの部品が仕様を変えながら試され、最終決定されるのですが、中には個性的で魅力的なものなど、どうしても捨てがたいパーツもあります。~後略~」
つまり、純正でつけたかったけれども、たぶん価格の問題でボツになったパーツということでしょうか。本当に時間とお金をかけて開発されたものだということがわかります。
そうそう、ソニーの他のエンジニア氏のうんぬん、まあ日本のオーディオ界はそんなものではないのでしょうか。
欧米のメーカーのエンジニアには、自分でクラシックの楽器をやったり本当に音楽が好きでやっている人が多いという話を聞くと、ちょっとがっかりですが、そんな理系バリバリのエンジニアの人たちの技術もまた必要だと思います。感性がいくらよくても、それを具現化することは、また別の次元の話ですから。

しばやん、SONYからこんなものが出ますね。 わざわざ買う必要があるのかどうかはよくわかりませんが…。

http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200803/08-0312/

そう言えば、コロラドのボールダーに住んでいる昔のルームメートの家の向かいは、有名なサウンド・エンジニアの家と聞きました。 CBS/SONYの仕事をしていたときには、有名ミュージシャンがボールダーに来ていたとか。 CBSの名前が消えたときに仕事もなくなったらしいですが…。

axbxcxさん、こんにちは。

いつも書き込みありがとうございます。コロラドのボールダートは、最近の黄ブログで掲載していた写真のところですか。でも、本当にいろいろな世界をご存知でうらやましいかぎりです^^?

さて、USB付のレコードプレーヤーの紹介ありがとうございます。たぶん、レコードプレーヤーを見たことも触ったこともない若い世代にはうけるんでしょうね、きっと。

いまどき、家にステレオはあってもCDプレーヤーやAVシアターがあっても、レコードプレーヤーはほとんど置いていないでしょうね。

でも、音を取り込む(ダビングする)ためだけに購入するのは、ちょっと?ですね。私としては・・・。

なにか、過激な余計なことをいってしまいそうなので、とりあえず筆を置きます。(別に筆じゃないか^^?)

しばやん、そうです。 彼の家の真向かいがそのサウンド・エンジニアの家だったのですが、デザインといい色といい私好みの家でした。 ユダヤ系の私の友人は、渡辺香津美とかKILYN、カシオペアが大好きでした。

実はもう7~8年前になるか、どうしてもなくしたくなかったカセットテープ(1978年夏に自分で録音したU.K.というバンドのJobson-Wetton-Holdsworth-Brufordというメンバーのライブ、38分25秒)をMP3化したことがあるのですが、面倒だったので1本でやめました。(^^; LPはやる気にもなりませんでした。

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