ジ・アルフィー(The ALFEE) 『ザ・ルネッサンス(THE RENAISSANCE)』
すべてはアルフィーが教えてくれた、というのは極論かもですが正直、高校生時代にアル中(アルフィーの熱狂的なファンを‘アル’中と人は呼びました。今はわかりませんが。)の友達に逢わなければ、しばやんの音楽遍歴もどうなったことやらというか、音楽とそれほど縁のない生活を送っていたかもしれません^^?
その中でもまず紹介したいのが、少し時代がかっていますが、1984年8月に発表のこのアルバムです。
『ザ・ルネッサンス(THE RENAISSANCE)』
CANYON RECORDS Inc. D35A0036
1984年8月発売
お薦め度: ★★★★☆
泣ける度: ★★★★☆
アルバムとしての完成度: ★★★★☆
一口コメント:
ジャパニーズプログレッシブロックを考えるときにはずしてはいけない一枚。高見沢俊彦、坂崎幸之助、桜井勝の3名からなる「アルフィー(今はジ・アルフィー)」は1980年代のJ-POPsの音楽シーンを語るのに欠かせない大御所のひとつであると思います。
今でこそ、坂崎さんが、J-POPs講座の先生みたいなかたちで日本のフォークシンガーやJ-POPsのミュージシャンたちと歓談していますが、アルフィーは、1970年代から活動を始めた非常に音楽的に幅の広いミュージックユニットです。フォーク全盛時代に発表された「さんじゅうし」などは、初期のアコースティックアルフィーの傑作で、非常に美しいハーモニーを聞かせてくれます。
知る人ぞ知るというか、アルフィー好きでは常識ですが、洋楽のエッセンス、「ビートルズ」から「サイモンとガーファンクル」はもちろんのこと、時代時代の中で、常に最先端の‘とがった’音楽をいち早く吸収・消化して日本語の作詞・作曲につなげました。作詞・作曲は高見沢さんのクレジットが多いですが、坂崎さん、そして桜井さんの三人でアルフィーというのもよく知られた話です。音楽好きの坂崎さんのスパイスの加減がまたいい具合に隠し味になっているとも言われています。
なぜ、あまたあるアルフィーのアルバムでこの「ザ・ルネサンス」が最初にくるのか。それを説明する前に曲目を紹介しましょう。
A面: 1.孤独の美学、2.愛の鼓動、3.真夜中を突っ走れ!、4.二人のSEASON、5.星空のディスタンス
B面: 6.GATE OF HEAVEN、7.鋼鉄の巨人、8.NOBODY KNOWS ME、9.STARSHIP-光を求めて-、10.永遠の詩
(左はジャケットの裏表紙です。誰がヌードの女性なのかも当時、物議をかもし出しました^^?)
アルフィーがブレイクするきっかけになった「星空のディスタンス」や売れ筋の(実際に売れた)「STARSHIP-光を求めて-」というヒット曲が収録されていることよりも、読者の方には、B面の「6.GATE OF HEAVEN」~「鋼鉄の巨人」~「NOBODY KNOWS ME」と続くメドレーと、最後の「永遠の詩」に着目してほしいと思います。
なにがすごいのか。以前、佐野元春の「SOMEDAY」の紹介でも書きましたが、当時アメリカのフィルスペクターというプロジューサーの「サウンドオブウォール」とかイギリスのプログレッシブ・ロック全盛の80年代の初頭の、J-POPsからの回答のひとつが、佐野元春の「Rock & Roll Night」~「サンチャイルドは僕の友達」であり、この「ザ・ルネサンス」のB面だと思うのです。
↓ 佐野元春『SOMEDAY』の記事はこちらを参照ください。
http://arukunakama.cocolog-nifty.com/life_i_love_you/2008/05/someday_617f.html
実はアルフィーのB面は、プログレ以前のザ・ビートルズへのオマージュかもしれない。「ホワイトアルバム」のC面に感じが似ているかも^^?
ということで、曲目の解説にはあえて踏み込みません。なかなか新譜で購入することは難しいかもしれませんが、中古CDで見つけたらぜひアルフィーの中期の傑作であるこのアルバムを味わってみてください。いろいろな冒険というかチャレンジがあって、永く楽しめること請け合いです。
P.S.
思えば、アルフィーは、「アルバム」を楽しむことを具体的に教えてくれました。好きなアーティストは全曲制覇を試みるのですが、今までその対象として考えられるのは洋楽では「ザ・ビートルズ」、「サイモンとガーファンクル」、J-POPsでは、「サザンオールスターズ」、「アリス」、「ミスターチルドレン」、「槇原敬之」、「オフコース」、「スピッツ」ぐらいでしょうか。「アルフィー」は実は社会人になる頃(1990年初頭)に卒業してしまいましたが、やはり抜群のメロディーメーカーであったと思います。
蛇足ですが、アルフィーはB面の最後の曲が、いうところの佳曲が多く、非常に練られたアルバムだなといつも感心しています。ずばり、泣ける唄が多いです。
ではでは^^?
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コメント
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これ、「開かれた列島社会、宮本常一~網野善彦の流れと同じモノの見方ですね。 日本が島国、閉鎖的だったというのは思い込みだということ、中世に自由があったという話と同じくらい目からウロコでした。
投稿: axbxcx | 2008年12月16日 (火) 16:15
しばやん、改めてこちらへのコメントです。 ジャパニーズプログレッシブロックという見方?は初めて聞きました。 個人的にはピンク・フロイドがプログレかと訊かれると困るところです。 ジェネシスやU.K.の最初のアルバムは間違いなくそうでしょうが…。
1971年にまずマクドナルド&ジャイルスを聞き、それからキング・クリムゾン(英国では1969年に出た「宮殿」が日本では1971年になって発売された)を聞いて、後にプログレと呼ばれた音楽に夢中になりました。
ただ私の場合は、1974年に第一期キング・クリムゾンが解散した時点でほとんど終わってしまった気がします。 1978年にU.K.(Jobson-Wetton-Holdsworth-Bruford)のライブを観たときにはまだ興奮が残っていましたが、1982年だったか3年だったか、第二期キング・クリムゾンを観たときには、もう完全に違うなと…。
最近になって、U.K.のボストン・ライブのCDが出たので、早速買い込みましたが…。 渡辺香津美とBill Brufordが一緒にやってるのも結構好きだったりします。 アドレスにリンクしておきます。
投稿: axbxcx | 2008年12月21日 (日) 15:30