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2019年11月

2019年11月19日 (火)

【003】ひらかれたプロフェッショナルスクールを目指して

つい先日、2019年11月16日と17日に、中部地方に、フィリピンの社会起業家の中村八千代さんをお招きして講演会をおこなった。その詳細にここでは入れないが、彼女がユニカセの事業の今後の展開について、「わたしは、事業を広げることより、質を高めたい。ユニカセの2号店など、フランチャイズは全く考えていない」との参加者から質問に対する答えがあった。

2006年に、八千代さんが前職の国境なき子供たちの駐在員として赴任して以来の付き合いとなるが、それを聞いて、さもありなんと思った。

八千代さんの事業内容もユニークではあるが、このユニカセというオーガニックレストランの事業ではストリートチルドレンなど全員が元チルドレン・アット・リスクで16ものNGOのシェルターにかくまわれていた青年たちに就業機会を与えるばかりではなく、日本からの大学生などのインターンや、スタディツアーなどの受け入れもおこなっている。

今回の話では、近年、特にフィリピンと日本の青少年の交流による人材育成事業に力を入れていることがわかった。日本からユニカセでインターンをさせてほしいと門をたたく大学生などのインターンに対して、「わたしは厳しいよ」と八千代さんは、みずから考えて動けるようになることをうながす。というより、ユニカセレストランの運営にあたっても、「チェックリストはつくるがマニュアルはつくらない」と八千代さんは明言している。それでも、「自分を高めたいとか、挑戦してみたい」という若者のみをインターンとして受け入れている。東京の有名大学や、文部科学省のトビタテジャパン留学奨学金を獲得した学生など、確実に優秀な若者を育成している。

このユニカセの中村さんの話については、いろいろウェブ上でも記事があるのでそちらを参照いただくとして、国際共創塾に話をもどそう。

別のところでもふれているように、わたしが国際協力の世界で仕事をする中で、政府の関係者や国際協力NGOのスタッフの方、ボランティアの方、国際協力に関心をもつ大学生や大学院生など、多くの人たちに接してきた。もちろん、日本だけでも何万人もいるそれらの人の全てに会うことは不可能である。(できないことはないと思うが)

さいわいにして、わたしは「地域開発と参加」という大きなテーマをおかけているということと、もともと農業土木の専門開発コンサルタント会社に所属していたので、国家計画の立案から農村のコミュニティ開発まで、非常に幅とひろい業務に接することができた。

そもそも論であるが、農村開発は、地域の全ての側面に対してアドレスできなくてはならない。農業、飲料水の確保、保健・医療、教育、生計向上、住民組織、協同組合、資源管理、交通、市場流通などなど、あらゆる人間活動の側面について、たとえ自分の専門でなくても、一通りの見立てができないといけない。

わたしは、エンジニアなどの専門家ではなかったため、チームリーダーのかばん持ちで、それぞれの専門家のアシストにまわる機会が多かった。入社当初は、なんの知識もない素人が、いきなり専門家とJICAなどのクライアントとの打合せに出席して議事録を作成させられるのである。いわゆる「門前の小僧習わぬ経を読む」ということもできるが、実際には仕事を通じて必要だと思われることを、非常に幅広く、かつある程度以上に深く学ばせていただくこととなった。「門前の小僧は(学ばないと)習わぬ経を読む(ことができない)」というのが真実であると思う。ただ、習ってはいないけど「経」というありがたいものがあるということを、まずは「門前で知る」ことが、小僧にとってのさいわいであったと思う。

さて、ユニカセの八千代さんに話を戻すと、おそらく、少人数でも弟子をきちんととって鍛えていくのが師道のあり方なのであろう。しかし、わたしは、残念ながら、そこまで弟子に手をかけることはできない。

つまり、国際共創塾のあり方としては、業界でプロフェッショナルとして求められている全体像を示し、さらに、その最低水準を明確に示す。塾生の個々が自分のめざす専門や関心分野を深めていくのは、当たり前のことではあるが、日本の大学や大学院教育では抜けている点、一人でがんばっていてもなかなか気がつかない点、見落としがちな点を指摘したい。しかも現実には、それらのだれもが重要視していないようなところに、もっとも大切なことが隠れていることが多い。

つまり、国際共創塾のカリキュラムを通じて自己研鑽すれば、まったくの初心者でも、最低限のレベルをクリアしたプロフェッショナルの入り口に立つことができる。この最低限のラインを示すことがこの塾の役割であり、それを基本的にウェブ上で展開することをわたしはもくろんでいる。

八千代さんとはやり方も方向性も違うであろうが、わたしも世界を舞台に活躍できる人材というか仲間を育てることに対する熱意は負けていないと思う。

わたしは、世界の片隅で、全然、見たこともあったこともない若者から、いつも国際共創塾の記事をキャリア形成の参考にさせていただきました、と話しかけられたら素敵だなど思う。自分の手を離れた文字や言葉が、世界のどこかで読まれて何かを変えていること。そんなときが来ることを信じて、この国際共創塾という事業をすすめていきたいと考えている。

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2019年11月 8日 (金)

【国際協力キャリアQ&A】大学生でやっておくべきことは? 進学希望の高校生に答える。

好評をいただいている「13歳からの国際貢献」セミナーの質疑応答で問われた質問です。

進学希望先の大学名をおっしゃったうえで、国際貢献の途をめざる過程としての大学生活を充実したものにするにはどうしたらよいですか、というニュアンスの質問だと、わたしは受け取ったのですが、ちょっとしどろもどろしてしまったので、あらためて回答らしきものをまとめなおしました。

ポイントを、無理やりに3つに絞ります。その理由と解説は、あとであらためて説明します。

<しばやんの回答>

1.大学生の4年間は何をやってもいい。だからこそ、しっかり「自分自身と向かい合って」ほしい。

2.「仲間づくり」のスタート地点としてほしい。

3.勇気をもって「フラグを立てて」ほしい。

<解説>

1.大学生の4年間は何をやってもいい。だからこそ、しっかり「自分自身と向かい合って」ほしい。

早い人では中学校、多くの人たちは高校入試という選抜試験をくぐりぬけて、そのうちの多くの方が、大学受験という高等教育課程に進学します。社会に出る前に、自分の個性や才能とは別の「学力」という尺度で、一律に競わされてきた最後の関門が、ほとんどの人の場合、大学となるわけです。むろん、中学や高校卒業で働いている仲間がいることや、大学院などさらに高度の研究過程にすすむ人がいることも踏まえたうえでのことですが、ふつうの一般家庭にとっては、お子さんが大学に入学するということはひとつの大きなゴールというか区切りであることは、間違いないでしょう。

しかし、当の新大学生にとっては、入学式は、まわりの期待や合格するかどうか(これは自分の学力だけではなく、体調や試験日の環境、むろん全国のライバルである他の受験生の能力にもよりますし、運なども影響します)のぎりぎりとした受験勉強の期間をやっと乗り越えたうれしい日であると同時に、第一希望にいけなかったくやしさや、燃え尽きた感を感じるときかもしれません。

ただ言えるのは、高校も義務教育ではありませんが、大学はもっと明確に新入生が「自分で選んだ」学校であり、学部であり専攻であることはあきらかなことです。

つまり、親やまわりは当然、新入生にいろいろな意味での期待と希望をかけています。それはそれとして、新入生は、自分で選び取った学校で、実質、何をやってもいいのです。親やまわりが泣こうが悲しもうが。

わたしにとっての大学は、そもそも第二志望でしたし、受験勉強が終わっていざなんでもやってみようと張り切ってみても、クラスやクラブでは浮いてしまったり、なじめなかったり最初は必ずしも心地よいものではありませんでした。

当然のことですが、いろいろな失敗や痛みを感じる中で、否応なくこの小さな「自分が選んだ学校(世界)」の中における自分の立ち位置というものを考えざるを得なくなります。つまり、「自分と向き合わざるを得ない」わけです。

ただ、わたしは親元を離れての下宿生ということも、そのことに拍車をかけたのかもしれません。なぜなら自分以外、すべて他人だらけのまちで学校で生活をはじめていくわけですから。

自分と向き合うことは、人によっては小学生や中学生の頃とか、幼少のことからやっている人もいるかもしれません。ただ、大学生ともなるとまわりの人の目が違ってくる。同じことを言ったり、やったりしていても、高校生までと大学生では、明らかに人の見る眼が違いますので、少なくとも「自分自身に対して自分の言動を説明できるのか、なにか、ごまかしたり自分を偽っていないのか」ということは、少し頭の片隅に置いておいたほうがいいと思います。

この節をまとめると、大学生時代にあなたがやることは全て正しい、ただ、どこまで自分ごと(自分自身を向き合ったうえでの言動)なのかについては気をつけてほしい。逆にいえば、人から無理にやらされることはない。いくら世間が正しいとかやるべきだとがなり立てても、大学生(を大人の始まりとするなら)やらなくてもいいということです。

一言でいうと、「やりたいことをやれ」誰も何もいわない(いえない)から。ということです。

2.「仲間づくり」のスタート地点としてほしい。

正直にいいます。わたしは友達が少ないです。そういえば、ライトノベルで「僕は友達が少ない」ってありましたよね。全然、リアルタイムでもないし、そもそもラノベもアニメも趣味ではないのですが、うつ病でひきこもっていた時に、ユーチューブでアニメを見まくっていた時期がありました。もう40過ぎのおっさんが、柄にもなく「はがない」とか「中二病」とか「とある」とか「涼宮」とか「ノゲノラ」とかに、ちょこっとだけはまってしまいました。おそらくクリエーターが同世代なんですよね。そういえば、アニメに関心をもったのは、神田沙也加が「ソードアートオンライン―オーディナルスケール」の劇場版を13回もみにいって、もとのアニメシリーズをみようと思ったのがきっかけかもしれません。

閑話休題

話を戻すと、小学校と中学校の友達でいまでも付き合いがあるのは、高校まで一緒だった男の幼馴染がひとり、高校のともだちでずっと交流があるのは先の幼馴染と高校の1年生で同級生だった男の子というように、結局、小中高のともだちは同性でふたりだけです。

わたしの場合、人並みに友達や仲間ができはじめるのは、実は大学生になってからでした。最初に述べたことに関係しますが、大学は、おそらく子供が初めて「自分で選んだ」生きる場所です。当然のことながら、自分と似たような趣味や考え方の人が、高校進学時よりもはるかに多く集まっています。これは、小中学校の学区や、通学圏と偏差値の高校とは、まったく違った自由さです。

別のところにも書いていますが、高校や大学などより広い社会集団に入れば入るほど、自分より遥かにすぐれた同級生や先輩、後輩に遭遇する確率が高くなってきます。でも、だからこそ、それらの人たちの中における自分の立ち位置を考えざるを得ないのです。

ライバルは最大の友達ともいいます。むろん競うことも大切ですが、自分も相手も悲しいかな全ての面でオールマイティということは、ほぼ100%ありえません。つまり、自分がその能力を認めるライバルが仲間になってくれたら、それ以上に心強いことはありません。

この節をまとめると、基本的に、世の中は類友、つまり類は友を呼ぶで、嫌でも似たような人たちが集まってきてしまいます。つまり、友達や仲間はあなた自身の鏡でもあるんですよね。ただ、気をつけることは、人に期待をしすぎてはいけません。いくらあなたに親しい友達でも仲間でも「あなた本人」ではないのですから。

3.勇気をもって「フラグを立てて」ほしい

この節は、さらりと流しましょう。つまり、大学では、自分とは何か、あくまで小さな世界ですが、「自分が選んだ社会」の中における自分他の立ち位置を知る(否が応でも思い知らされる)というステージがあり、新しい「自分が選んだ社会」の中で、友達や仲間に出会う。これが、1と2で述べてきたことです。

この1の自己分析と2の仲間づくりを加速させるのが、3番目にあげた「フラグを立てる」ということです。わたしは、現役で進学しましたから18歳で大学一年生、そして確か19歳のときに、「大阪便り」という一人雑誌(チラシ)を発行しだしました。これは、親にワープロを進学にあたって買ってもらったお礼を兼ねて、家への手紙の代わりにつくったものです。

その中では、かなりはっきりと自分が今やっていること、やりたいこと、考えていることを文字にして知人やお世話になった人に配っていました。いま思うと、自分の考えなりを「言語化する」ということと「人に読まれる文章を書く」ということの練習になったと思います。実は、2000年からホームページを始めたとしていますが、その源流は、この「大阪だより」にある、ということです。

つまり1989年くらいから「人に見てもらう文章」を書くことをしていたということで、もう30年くらい「情報発信」をしているということですね。

ともあれ、この一人雑誌やホームページ、ブログで「他人のため」に発信するということは、ブーメラン効果といいますが、自分が後で読み返してみて役にたったといえることがいくつかありました。

その一つが、将来やりたいと昔に書いたことが、ほとんど実現しているということ。昔の記事を読み返すことは、実はほどんどないのですが、たまに自分で見返してびっくりすることがあります。その反応のひとつが、「結構いいこと書いているじゃん」と、「あれ、いま思いついたことを、もう何年も前に自分で書いていた」という「自分が忘れていたこと」に対する驚きと、またひとつが、さきに述べた「あれ、この予言というか、大言壮語していたことが、時差はあっても、できてしまっているじゃん」ということです。

ともあれ、考えは文字に起こした時点で、自分の内側のものから、外部のものへと変換します。これは、他人もみれると同時に、自分も、客観的にみることができます。

やっぱり思っているだけではだめで、ぜひ、紙に書いて仲間に自分の想いや考えを「フラグ」として立ててみてください。これは、将来の自分への「フラグ」ともなりえます。

以上、わたしが考える大学生でやるべきことは、この3点です。

1.大学生の4年間は何をやってもいい。だからこそ、しっかり「自分自身と向かい合って」ほしい。

2.「仲間づくり」のスタート地点としてほしい。

3.勇気をもって「フラグを立てて」ほしい。

ではでは^^?

なんでも質問を受け付けます。コメントをよろしくお願いいたします。

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2019年11月 5日 (火)

【2019年11月】活動予定&記録

歩く仲間(国際共創塾)では、下記のセミナーやイベントを開催します。

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2019年11月

2日(土) 「出張・せかトモセミナー 13歳からの国際貢献」 @東京・大手町

※東京の仲間に国際協力(開発援助)業界についてレクチャー。4名参加。

13日(水) 「13歳からの国際貢献・・・世界で活躍する自分になる」 @名古屋・ナユタビル

※好評をいただいている国際協力(開発援助)業界についてのセミナーです。中学生以上としていますが、国際公務員から国際協力NGO、開発コンサルタント、民間企業(社会起業家を含む)など、職業としての国際協力をがっつりとレクチャーします。詳しくは、こちらのフェイスブックページをご覧ください。申し込みは、こちらからお願いします。

16日(土) 「異文化で実践するソーシャルビジネス・フィリピンの社会起業家・ユニカセの中村八千代さん講演会」 @岡崎・Camping Office osoto Okazaki

※フィリピン駐在時代の仲間の講演会。詳しくは、こちらのフェイスブックページをご覧ください。申し込みは、こちらからお願いします。

17日(日) 「異文化で実践するソーシャルビジネス・フィリピンの社会起業家・ユニカセの中村八千代さん講演会」 @名古屋・JICA中部2階セミナールームB1-3

※フィリピン駐在時代の仲間の講演会。詳しくは、こちらのフェイスブックページをご覧ください。申し込みは、こちらからお願いします。

20日(水) 「13歳からの国際貢献・・・世界で活躍する自分になる」 @名古屋・ナユタビル

※好評をいただいている国際協力(開発援助)業界についてのセミナーです。中学生以上としていますが、国際公務員から国際協力NGO、開発コンサルタント、民間企業(社会起業家を含む)など、職業としての国際協力をがっつりとレクチャーします。詳しくは、こちらのフェイスブックページをご覧ください。申し込みは、こちらからお願いします。

23日(土) 「せかトモナイト 11月定例会 あなたをもっと知りたくて」 @名古屋・JICA中部 

※定例の交流会です。JICAなごや地球ひろば併設のカフェ・クロスロードで、国際協力×地域づくり×海外旅行好きのみなさんのための交流会をおこないます。詳しくは、こちらのフェイスブックページをご覧ください。申し込みは、こちらからお願いします。

26日(火) 「せかトモセミナー フィリピン農地改革省の挑戦」 @名古屋・ナユタビル8F

※しばやんが携わったフィリピンのミンダナオ島の大規模な地域開発事業(日本の円借款)について語ります。詳しくは、こちらのフェイスブックページをご覧ください。申し込みは、こちらからお願いします。

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【2019年10月】活動予定&記録

歩く仲間(国際共創塾)では、下記のセミナーやイベントを開催しました。

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2019年10月

13日(日) 「第5回 国際協力交流会」 カンタティモール上映会 @名古屋・栄

※仲間の主催イベントにスタッフ&音響機器レンタルとして協力。30名近く参加。

20日(日) 「13歳からの国際貢献セミナー」 @岡崎・田川ダンススクール

※岡崎朝活のスピンオフ企画。初級ゼミ。参加者8名。

20日(日) 「せかトモナイト10月定例会」 @名古屋・カフェ・クロスロード

※毎月、JICA中部のなごや地球ひろば併設のカフェ・クロスロードでおこなっている交流会。参加者1名。

23日(水) 「せかトモセミナー」 東ティモールの独立と国際協力 @名古屋・ナユタビル

※毎月行っている事例研究のセミナー。今回は、東ティモールをとりあげました。参加者3名。

25日(金) 「開発コンサルタントのお仕事」 @名古屋ナユタビル

※初級ゼミ。参加者3名。

29日(火) 「13歳からの国際貢献セミナー」 @名古屋・御器所

※出張ゼミナール。初級ゼミ。参加者3名。

10月13日以外は、主催セミナーです。

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